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ー崩落ー40
「それに君たちも病院の方が安心して望のことを見てあげることができるんじゃないかな? それと、望には入院患者さんの気持ちも分からせてあげられるいい機会なんじゃないかなぁ? まぁ、たった数日なのかもしれないけど、望にはいい勉強になると思うよ。だから、今回は個室ではなく大部屋の方に入院してもらうよ」
「分かりました。では、望のことを病室に連れて行きますね」
「いや、私が連れて行くことにするよ。君たちもまだ夜があるのだから部屋でゆっくりしてくるといいと思うよ」
裕二はそう言うと、ストレッチャーではなく、和也同様に望を抱き上げて病室に向かった。
「望……本当に大丈夫なのかな?」
「院長が連れて行ってくれたのですから、大丈夫だと思いますよ。心配でしたら、明日また起きてから望さんのところに行きませんか?」
裕実は和也にそう言うと、和也の腕に自分の腕を絡めて笑顔で見上げる。
「あ、そうだな。ま、そこはいいとして……お前はもう自分の部屋に行くことはできねぇんだろ? ならさ、俺のベッドで一緒に寝ないか?」
「はい!」
二人はそう決めると和也の部屋へと向かう。
「なんか、和也のベッドでこうして寝るの、久しぶりのような気がします」
「確かにそうだな……だって、あの地震以来だろ?」
和也は裕実の体を抱きしめて、
「それに、久しぶりに裕実と二人きりになれたような気がするんだけどな……俺の気のせいか?」
裕実はその和也の言葉にクスリと笑いながら、
「多分、そうですよ……」
「だよな。たまには二人きりっていうのもいいもんなんだな」
和也はそこまで言うと、裕実の耳元で、
「なぁ、急にシたくなってきちまった」
「流石にそれはダメですよー」
その和也の言葉に、裕実は拒否の意味で和也の顔を押し返す。
「なんでだよー! だって、二人きりになれたご褒美だろ?」
「何を言ってるんですかー! 望さんが病気で入院したっていう時に不謹慎ですよー!」
「分かってるんだけどさ……流石に体の方がそろそろ限界っていうのかな? それにさ、こういうもって抜かないと体に良くないだろ? それくらいはお前だって知ってんだろうが……。それこそ我慢してたらこっちが病気になっちまうし」
「じゃあ、僕は平気ですから、和也のだけ抜くっていうのはどうですかね?」
「まぁ、納得はしねぇけど、今はそれで我慢するしかねぇかな?」
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