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ー崩落ー47

『和也……望は病気が悪化して入院する事になったんか?』  和也はそのメールを読むと、雄介からのメールであることを確認し、すぐに返信をする。 『そういう事だ。悪い……俺達が付いておきながら、望の事を入院させる事になっちまってさ』  そう返信すると、和也は携帯を閉じ、その携帯をロッカーの中へとしまった。  流石に雄介とたくさんメールをしている時間はもう無い。とりあえず雄介には望の事を伝えられれば十分だろう。  和也は部屋を出て、仕事を始める。  それから午後になると、和也は望がいる病室へと向かう。  お昼の病棟というのは何かと騒がしい。  患者さんたちはお昼を終えて、それぞれの時間を過ごしているからだ。  リハビリに向かう患者さんや、患者さん同士で仲良くなって遊戯場で将棋や囲碁をしたり、庭を散歩する人もいる。みんながみんな何かと動いている時間なので、騒がしいのだろう。  和也はその中、望の病室へと向かう。  和也が望の病室に着くと、まだカーテンが引いてあった。  やはり望はまだ寝ているのだろうか。  和也はそっとカーテンを開ける。  すると、静かに開けたにもかかわらず、望は小さな声を上げて目を覚ましたようだ。  そんな望に気付いた和也は、 「望……大丈夫か?」 「んー……」  まだ完全に意識を覚ましていないのか、返事が曖昧な気がする。 「……和也か?」 「何だ?」  望に名前を呼ばれて、和也は笑顔で返事し、望の顔に少し顔を近付ける。 「……って、何で俺はここにいるんだ?」 「あ、そっか……望は知らないんだっけ? 昨夜、俺達が心配する程調子悪そうにしてたから、望の事を病院に連れて来たんだよ」 「そういう事だったのか。やっぱりインフルエンザっていうのは馬鹿にしちゃいけないんだよな?」 「そういう事だな。望のお父さんが言ってたんだけどさ、暫く治るまでは入院してた方がいいんじゃねぇかって。ほら、家の方だとゆっくり出来ないだろ? それに俺達も病院にいてくれた方が、ゆっくり望の事世話出来るしさ」 「分かってるんだけどさぁ。何だか俺が入院してるのが、他の患者さんにバレるのが嫌なんだよな。そういうのってすぐに回るだろ?」 「だけど、家じゃ誰もいないしさ。じゃあ、望は一人で家で何かと色々出来るのか? そりゃ普通の時なら全然気にしねぇけど、病気の時くらいは甘えろよ」

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