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ー崩落ー49

「まぁ、今回だけだから堪忍な……」  雄介はそう言いながら両手を合わせ、和也の方に向かって頭を下げる。  そんな雄介に、和也はため息を吐くと、 「仕方ねぇな。今回は許すんだけどさ。次回からは許さないからな……ま、それで、望の入院が長引いて困るのは雄介や俺達なんだしよ……ってか、お前、寝て来たのか?」 「寝る訳ないやんか……朝、和也にメールもらってから落ち着いて居られる訳ないやろ? せやから、今まで起きておったわぁ……ほんで、ここまで歩いて来た」  相変わらずの雄介に、和也はため息を漏らす。 「あのさぁ、前にも言っただろ? お前が倒れちまったら、望はどうするんだよーってさぁ」 「俺の体はそんなに柔くないで……一日位寝ぇへんでも大丈夫やしな」 「そりゃ、確かに知ってんだけどさ。昨日なんかは下手すると一日中起きてんだろ? するともう既に二十四時間以上起きてる事になるんじゃねぇのか?」 「ま、それはそうなんやけど……俺の体の方は何ともないしな」  今日、和也は何回雄介の言葉にため息を漏らしただろうか。和也は仕方無しにそこは折れる事にしたようだ。そうじゃないとこのまま話が平行線のままになりそうな気がしたからかもしれない。 「もう、分かったから……望の所に行って来いよ!」  和也はそう言いながら、親指で自分の後ろを指差す。 「望の病室はここの一番奥だからな……」 「サンキュー」  和也から望の病室を聞くと、雄介は望の病室の方に向かおうとした直後、再び和也に止められる。 「ここは病院なんだから、望の事を抱くなんて考えるんじゃねぇぞ」 「流石にそんな事は分かってるわぁ。そういう風に聞いてくる和也の方がやってそうなんやけどな」  雄介はふざけて返したつもりだったが、直球の言葉に慣れていない和也は、 「そんな訳ねぇだろ!?」 「何焦ってねや? って事はお前もそういう気を起こした事があるって事かいな?」  望と裕実だったらこういう会話には慣れているはずなのだが、雄介とは慣れていない和也。  こういう話の場合、裕実や望だったら雄介のように直球では来ない。その直球さが和也にとっては恥ずかしく、動揺しているようにも見える。  だが和也は急に開き直り、 「昨日の夜……まぁ、裕実とちょことしたかな?」

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