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ー崩落ー50

「ほらな……やっぱ、したんやないかー! そういう風に言うって事は、自分がやった経験があるか、欲求不満だって事やろな?」 「そんな事はいいからさ、早く望の所に行ってやれよ」  和也にそう言われて、雄介は腕時計を見ると既に面会時間から十五分が経過していた。 「え? もう! 十五分も損しとったやんかぁ!」 「だから言ってんじゃねぇか……」  そんな慌てている雄介の様子を見ながら、再びため息を吐く和也。  雄介は、和也や望に比べたら頭の回転は速くないのかもしれない。和也みたく計算して話や行動をしているのではなく、ごく自然な行動をしているからこそ、喜怒哀楽が激しいのであろう。だが、和也は行動も言葉もある意味頭の中で予測していて、その考えと違うふうになると慌てるタイプのようだ。 「やっぱり、そこは……雄介とは違うんだろな? そこに望は魅力を感じたのかもしれねぇな……」  和也はそこで独り言を呟き、仕事へと戻って行く。  雄介は、望の名前がある病室を見つけると中へと入って行く。そして一番手前のベッドに望を見つけると、笑顔で望の近くへと向かう。  だが望はまだ寝ているのか、雄介がいる側ではなく反対側を向いて寝ていた。 「まだ、望は寝てたんかいなぁ。ま、しゃーないか……」  そう言って、雄介は近くにあった椅子へ腰を下ろす。  一人で望を見ながらぼーっとしていた雄介だが、病院というのは適温に保たれているせいか、あるいは昨日も寝ていない雄介に眠気が襲ってきたのか、ゆっくりと頭が揺れ始める。人間、眠気で頭が揺れ始めると、もう眠くなってきているのは間違いない。段々と頭が下がり、気づけば望のベッドに頭を置いて、雄介は寝てしまっていた。  それから数時間後。雄介は目が覚め、半身を起こすと、上半身を起こしている望の姿が目に入ってくる。 「望、起きてきて大丈夫なんか?」 「まぁな。ここんとこ毎日のように寝てたから、早く復活出来たような気がするしな」 「ほなら、良かったわぁ」  雄介はそんな望に笑顔を向けたが、何故か望は深刻そうな表情で雄介を見ているようにも見える。 「どないしたん?」 「あ、いや……なんでもねぇよ」  望はそう言うと再び反対側を向いてしまう。 「な、言いたい事あんねんやったら言うて……」

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