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ー崩落ー55

 それから二日後の面会時間。  その日、雄介の気配は望の病室にはなかった。  二日前にあんなことがあったからだろうか? あんなに望のことを好きな雄介が面会時間になっても姿を現さないのはやはり不思議な気がする。  和也はいつもより遅い昼休みを利用して望のところに雄介が来ているのを見込んで病室に来たのだが、そこに雄介の姿はなかった。  和也は雄介がいない姿に首を傾げる。  雄介がこの時間に望の病室に来ていないのは変だ。 二日前の時にはフライングしそうな勢いで走ってまで病室に行っていたのに、今日はそれがない。そして時刻も面会時間からゆうに一時間は経っていた。  雄介のことだから、休みの日は時間が許す限り望のところにいたいと思っているはずなのに、本当にこんな時間まで雄介は何をしているのだろうか。  とりあえず、和也は変に思いながらも布団の中にいる望に声を掛ける。 「な、望……雄介はどうしたんだ? 昨日ここに来れなかったのは仕事だったからっていうのは分かるんだけどさ……今日の雄介は一日フリーの日だろ? なら、来る日なんじゃねぇのか?」  今まで布団の中に潜っていた望だったが、和也のその言葉に一気に布団から出てきて上半身を起こし、何故か和也のことを睨み付けるように見上げる。 「雄介のことは言うんじゃねぇよ」 「はぁ!?」  睨み付けられ、恋人のことをそんな風に言われた和也は驚いた声を上げる。  だが和也は腕を組み、考えると今の望の言葉から二人に何かあったのだと分かったのか、 「そうか……望と雄介の間で喧嘩してるって訳だ」 「別にそんなことじゃねぇし!」 「じゃあ、なんなんだろうね? 雄介は全然見舞いに来ないし、望の方はイライラしてるしさ……ってか、その望のイライラの原因ってなんなんだ?」  相変わらず、人の心の中にずけずけと入ってくる和也。だが、友達だからこそ心の中に入れることができるのだろう。  寧ろ、望の場合にはそれくらいのことをしないと話してくれないからなのかもしれない。  しかし望は否定はするものの、なかなかそのことについて口を割ってくれないのだから困ったもんだ。 「言わないってことは、逆にお前と雄介が喧嘩したってことでいいのかな?」

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