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ー崩落ー62
「さっきの雄介さんからのメールで気になったことが一つあるんですけど、メールの最後にあった『……』とはどういう意味なんですか? か……。これだとストレート過ぎないか?」
「それは雄介さんの性格を良く知ってるからですよ」
「雄介の性格!?」
「雄介さんにはこういう事話す時には遠回しに聞いても分かってもらえない事があるのですが、逆にストレートに聞くと答えてくれるんですからね」
その裕実の言葉に和也は何も声を発せず目を丸くしたまま裕実の事を見ていた。
そして直ぐにいつもの和也の表情へと戻すとひと息吐いて、
「……って、やっぱりか……お前ってさ、裏の顔持ってんだろ?」
その和也の言葉に裕実の方は一瞬表情を変えたのだったのだが、裕実の方もひと息吐き、
「和也はその事について知らなかったのですか? ですが、裏の顔を持っていても本当に和也の事は好きなんですからね。能ある鷹は爪を隠すっていうでしょう? 僕の場合にはただそれだけですから」
「だから、望のお父さんに連れて来てもらったんだろ?」
「そういう事なんですよ」
「最初のお前はさぁ、ドジばっかしてたけど、俺と付き合い出してからはそんな事しなくなったもんな」
「流石に気付きますよね? だって、和也は僕なんかより望さんの事見てましたからね。何とかして和也を僕の方に向けさせたくて、最初の方はそんな事をしてましたけど、逆に和也が好きなタイプというのはドジな人じゃないって事に気付いて、それで、普通の自分に戻したんですよ。スイマセン……和也の事騙すような事をしてしまっていて……」
「別に俺はそんな事位じゃ怒らねぇよ……」
和也はそこで一区切りすると、
「とりあえずさ、雄介にメールしといてやれよ……後の事は裕実に任せるし、って言っても、まぁ、ちゃんと協力はするけどな」
そう笑顔で言う和也。その笑顔に裕実の方も笑顔で返す。
「はい!」
そして裕実は大きな声で返事するのだ。
裕実が雄介にメールを送って雄介からの返信を待っている間、今日の二人はいつも以上に愛の言葉を囁いていたのだ。
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