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ー崩落ー75

「あ、あー! せやな!」  やっと雄介は望の言葉を理解したようだ。そう言った直後、雄介は望がいる布団の中へと潜り込んだ。そして、望の顔を捉えると、雄介は承諾を得る前に唇を重ねた。 「たまにはこういうのもええねんやろ?」 「ま、あ……ぅん……嫌いではねぇけどな……」  そう言う望だが、相変わらず雄介から視線を外して答える。そんな態度を取ることは、雄介にはもう慣れていたのかもしれない。  雄介はそんな望に優しく微笑み、大きな体で包み込んだ。 「雄介……」 「……何?」  望は雄介の名前を呼ぶと同時に、雄介の瞳を愛おしそうに見つめた。次の瞬間、雄介は愛の言葉を期待していたが、望の口から出てきたのは予想外の言葉だった。 「俺ら、今度の土日に旅行があるんだよ。もちろん、その旅行には和也も裕実も一緒なんだけどさ」 「はい!?」  その言葉に、雄介は驚いた表情を望に向けた。望はその驚いた表情を見て、何か勘違いしているのかもしれない。 「そんなに驚くってことは、行くの駄目なのか?」 「駄目って訳やないんやけど……その……望が俺を愛おしそうに見つめてくれたから、素敵な言葉を言ってくれるんかなって期待してたら、そんなことやったから逆に驚いたっていうんかな?」  雄介の言葉に、望はクスクスと笑い始める。 「ゴメン……ちょっとお前を騙してみたっていうのかな? お前って案外可愛いところあるんだな……。あんなちょっとしたことで騙されるなんて」  雄介はその望の言葉にブツブツと独り言を言い始める。 「しゃーないやんか……話の流れ的に期待するやろ?」 「それはゴメンって……で、一泊だけ家を空けることになるんだけど、大丈夫だよな?」  雄介は独り言を言っていたが、望が急に普通のトーンで話し始めたことに気づき、 「行っちゃアカンとは言えへんやろ? そんなこと聞かんでもええことやんか……」  今度は子供のようにふてくされて言う雄介。 「ま、確かにそうなんだけど……でも、俺が出掛けて家を空けるってことはお前に伝えるべきことだろ?」 「ま、確かにそうやんな……。そこは俺の方は仕事やし気にはならんけどな」 「そっか……なら、良かったな」  望はそこで急にベッドから降りてしまった。 「何処に行くん?」

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