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ー崩落ー92

 そう言う和也に、望は心配してなのか和也の耳元で、 「お前、新城と二人きりで大丈夫なのか?」 「今はそんな事は関係ないだろ? 今、この状況で力がありそうなのは俺と新城しかいないんだからよ。 それに、この状況で助け合わなくてどうするんだ?」  その和也の言葉に、望は安心したのか、和也に軽く微笑み、 「分かった! そこは和也達に任せるな! じゃあ、俺達の方は車探してくるよ!」  望は和也に向かって手を上げると、裕実と一緒になってトンネル内を歩き始める。  トンネル内は崩落事故だけあってか、コンクリートの塊が至る所に散乱している状態だ。 そのコンクリートで押し潰されてしまっている車もあれば、ガラスの破片等も散乱している。 この状況でこの道路を歩くのは無謀という状況に近いのかもしれない。  車から命かガラ脱出して来た人間も、まだこの地獄から抜け出せないでいるからなのか、多少安全であるような場所で身を震わせている人たちもいる。 「とりあえず、トンネル内で事故に巻き込まれた人たちを安全な場所に移動させておいた方がいいみたいだな」 「そうですねー。 この煙の中では二次災害が起きておかしくはない状況ですからね……」  裕実は辺りを見渡してみると、 「あ! ありました! 非常用出口!」 「あそこでなら暫くいることができそうだな」  二人は見つけた非常用出口へと向かうと、ドアが開いている事を確認し、 「後はトンネル内にいる人たちをここに誘導させて、生きてる車を探した方が良さそうだよな。」 「ですね」  二人はそう決めると、ゆっくりと歩き、人々に声を掛けながら車とロープを持っている人を探し始める。 そして、それと同時に人々をそこにある非常用出口へと導くのだ。  やがて二人の努力が実ったようで、車もロープも見つかり、トンネル内にいる人たちを非常用出口へと集めるのだ。 「後はこの車とロープを使って、ドアが開いてくれるといいんだけどな」 「ですね!」  やっとの事で少し希望が見えてきたからなのだろうか。 裕実も望も笑顔になると、その生きてる車にエンジンを掛けて和也がいる所へと急ぐ。 「和也ー! 一台だけ生きてる車があったぞ! ついでにこの車の持ち主さんの話だと、今日はキャンプに出掛ける予定だったから、中にロープも積んであるって言ってたしな。 それと同時にこのトンネル内にいる人たちを非常用出口に誘導しといたからよ」

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