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ー崩落ー103

「望も危なかったんやから、まだ、暫く動かん方がええんと違う? 望の口から誰を先に出して欲しいか、っていうのを言うてくれたら、その人達を優先的に出すし」  雄介はそう望に言い聞かせるように言いながら、望のことをゆっくりと床へと下ろしていく。 「とりあえず、親父と歩夢を……」 「望の親父さんと……歩夢やと!?」  雄介からすれば、全然望の親父さんに関してはむしろお世話になっているのだから何も問題はないのだが、歩夢の方はこの間の一件があってから、どうも雄介にとっては問題だから、雄介はそんな反応をしたのかもしれない。 「歩夢は確かに見た目では全然問題無さそうなんだけどさ、頭を打ってるらしいから、早めに行かせて検査してもらった方がいいんだよ。 例え、アイツが嫌だって叫んでも無理に連れてっていいからよ。 とりあえず、俺も雄介と一緒にここ出る予定でいるしな」 「せやから、そこは……さっきも言ったやろ? 望はまだ完全に体が回復しておらんのやから、無理すんなや……それに、今日の望も意識失いかけておったんやから、今日はもう望も無理せんとゆっくりしておった方がええんやない?」 「確かに雄介の言う通りなんだけどさ……俺がやらないと誰がやる!? って状態だからな」  そう言って望は立とうとしたのだが、雄介は真剣な表情で望の肩を押さえ、 「いつか、お前言っておったよな? 俺が入院しておった時かな? その台詞そのまま今のお前に返してやるわぁ……『お前の他にも医者は沢山おるんやから、今は自分の体を休ませる事が先決』やってな。 せやから、今日は俺の為にと思うて仕事なんかせずに療養してな」  望は雄介の言葉にため息をもらすと、 「分かったよ……。 今日はみんなに任せて俺はゆっくりするな」  その望の言葉に安心したのか、雄介は望に微笑んだかと思えば、ゆっくりと望の唇に唇を重ねる。  だが今日の望は、その雄介からのキスを大人しく受け入れた。 「ほな、また……後でな……」  雄介は望に向かい手を振ると、望に言われた通りに、まずは裕二の所へと向かい、裕二のことを軽々とおんぶすると、すぐそばにいた歩夢にも声を掛ける。 「ほら、自分も行くんやで……」 「君に言われなくても分かってるよ」 「文句なら後で聞いたるから、とりあえず、早よ外に行くで……」 「いいよ。 僕は兄さんと一緒に行くから」 「あんなぁ……」  雄介は、そんな歩夢にため息を漏らし、 「望は俺にお前の事を託したんやから、だから、行くんやって!」 「なら、尚更、行かなーい! 雄兄さんは僕からしたら一番のライバルだからね」  今日、歩夢のせいで何度ため息を漏らしただろうか? 「ほな、ええわぁ……。 とりあえず、親父さんの方を先に連れてくし」

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