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ー崩落ー109

「ホンマやって……。しかし、お前の弟はなんでしょっちゅう相手を変えてまうんやろな? そこが信じられへんわぁ」  雄介は料理を口に運びながら言うが、まだ納得がいっていない望は、雄介が作った料理に手をつけていないようだ。 「なんやねん……何がまだ不安なん?」 「別に……」  そうふてくされたように返事をした望は、ようやく料理を口にする。  その様子を見て、雄介はため息をつく。 「どうしたら、その望が抱えてる問題が解決して笑顔になってくれるんやろ? 俺は和也みたいに器用な人間やないんやで……」  しばらく黙っていた望だったが、ご飯を食べ終えると、 「なら、お前の力で、俺のこと笑顔にさせればいいだろ?」  それだけを言い残して、望は自分の部屋へ向かってしまう。  望が去った後、一人リビングに残された雄介は、独り言をつぶやく。 「ホンマに望はどっかのお姫様やんなぁ……ま、そこも可愛いとこなんやけど……。今の望の行動で、望が俺に言いたいことはだいたい分かったけど……しかしなぁ、よう分からんのは歩夢の方や……もう! アイツはホンマに俺らを引っ掻き回してくれるしな……そりゃ、望も機嫌悪くなるっちゅうねん」  そう独り言を呟いていた雄介だが、何か思いついたように手を叩き、 「せや! 望の前で、望の弟にキッパリと断ればええやんな! そしたら、望の奴……納得してくれるやろうしな! ほな、明後日決行って事で! 今日は望とラブラブにー!」  そう独り言を漏らし、ニヤけた表情を見せる雄介。 「たまには、望の前で男らしいとこ見せて望のこと守ってやらなあかんやろうしな……」  そう決心したかのように、雄介は拳を握る。  二日が過ぎ、雄介は歩夢の病室に向かっていた。  歩夢の病室へ向かう途中、ナースステーションの近くに和也がおり、そこで雄介の姿を捉える。 「ん? 雄介? なんでこんな時間にここにいるんだろ? ってか、望は入院してないよな?」  不審な動きをする雄介を目で追いながら、ナースステーションの入口からその様子を伺う。 「なるほどー、望の弟のところにな……。って、なんで? しかも、歩夢の病室に来るのにスーツまで着てきてるんだろ? え? まさか……雄介の奴……望から歩夢に乗り換えるつもりでスーツで来たのか? ってことは、雄介は歩夢に告白するためにわざわざスーツで来たってことか?」

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