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ー崩落ー115
望はそこまで言うと和也から視線を外して頬を掻きながら、
「あ、だからさ……それを聞いて、俺が……『はい、そうですか……』ってすぐに言えるわけないだろー。 それに、あんな事言われて、今は物凄く照れくさいんだからよ」
和也は望のその言葉にクスリと笑うと、そんな和也に気付いた望は、
「そこ、笑うとこじゃねぇんだよ」
そう照れくさそうに言う。
「まぁ、俺的には望の成長が見れて嬉しいってところかな? ちょっと前の望とはやっぱ変わったよな? ホント、気持ち的に素直になってきたっていうのかな? まぁ、それを本人前にするとまだ上手く言えないっぽいんだけどな。 とりあえず俺の前で素直に言えるようになっただけでも違うのかな?」
望はその和也の言葉にさらに顔を赤くし、目のやり場に困っているのか瞳を宙へと浮かせてしまっている。
「今日はさぁ、雄介と一緒に帰って、望がしたいようにした方がいいんじゃねぇのか? 雄介はきっと今日の歩夢の事が決着してないから、流石に望とデートとかそういうのは言えないと思うしな。 とりあえず、今日は自然にしていいから、雄介の事リードしてやったらいいんじゃねぇのかな? 雄介は素直な性格だから、望が何か言ってあげたら付いて来るだろ?」
「……あ、まぁ……そうだな」
望はそのまま和也の言葉を素直に受け取ったのか、言葉には出さないものの心の中では『ありがとう』と思っているのであろう。和也に向けて笑顔を向ける。
その笑顔が伝わった和也も笑顔になって。
「じゃあ……」
と言いながら部屋のドアを開け、先に望を部屋の中へと入れる。
「とりあえず、雄介のせいで時間過ぎちまったんだから、部屋の掃除手伝ってくれよ!」
「ちょ、待てよ……。 何で俺が部屋の掃除手伝わないとアカンのー?」
「今、それ言っただろ? 今の俺の話、聞いてなかったのか?」
「聞いておったけど、俺のせいっていうのは余計やし……」
そこまで言うと雄介は今日着てきた自分の姿を見る。
「掃除なんか手伝ったら、服汚れてまうやんか……。 一応、コレ、ブランドもんなんやで……」
「んじゃあ、汚したくなかったら……外に出ててくれねぇか?」
和也はそう言うと、雄介の背中を押して部屋の外へと追いやってしまう。
「雄介……。 さっき望と話してたんだけどさ、望の方は大丈夫だから。 『雄介の話は分かった。 ただ素直に頷けないだけだ……』って言ってたしな。 だから、後はいつものように話したらいいと思うぜ。 それに、逆に今日の雄介に惚れ直したみたいだしな」
そう言うと和也は部屋の中に戻り、今日最後の仕事である掃除を始める。
和也はしばらくして掃除を終えると、いつものように大声で、
「終わった!」
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