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ー崩落ー123
「ほなら、どうなん?」
優しく言ってるわりには今日の雄介は本当に意地悪でしつこく聞いているような気がする。
「な、望……答えてぇな……」
望は雄介から視線を逸らし、まるでリンゴのように真っ赤にさせ言おうか言わないのか迷ってるようで微かに唇を動かしていた。
「さっき望は言わんかったか? 『風呂の事は絶対に曲げへんけど……今日の事は雄介に任せす』ってな。 せやから、望の望む通りに俺の方はそうしとるのやで……望はそんな俺は嫌か?」
暫く黙っていた望だったのだが、その雄介の言葉に意を決したのであろう。
顔を真っ赤にしたままだったのだが瞳を潤わせ恥ずかしそうな表情で雄介の事を見上げる。
「……好きに決まってる……だろ……」
望は好きな雄介に伝わるように望にしては恥を忍んで精一杯言ったのだが、どうやら、雄介からしてみたらその望の言葉が誘っているようにしか見えなかった。
潤んだ瞳に女の子のような赤くて柔らかそうな唇。
今の望には『どんな女性よりも色っぽい』という言葉が似合いそうだ。
「望……それ、アカンわぁ……。 望にそないな顔で言われたら、俺が望に意地悪な事言えなくなるー」
その雄介も言葉に望は表情だけで『なんで?』と表情を雄介に向ける。
「『なんでか?』って? 俺が我慢出来んようになるからや……。 望ん事気持ち良くする前に俺の方が我慢出来なくなったら、望が可愛そうやしな……。 せやから、俺は普通に望に意地悪な事出来へん……」
望はため息を吐くと、
「お前がすっげー、優しい事は俺も分かってるよ……でも、さっき言ったろ?」
望にはこの先の言葉は穴にあったら入りたいという位、本当は恥ずかしいらしい。 だから、望は言葉を区切ってるのであろう。
暫く望は口をもごもごとさせていたのだが、
「今日はお前の言う事を聞くって……だって、それは、俺もお前の事が好きだから……俺ばっかじゃなく、お前にも好きあってるって事を自覚してもらいたいから言ってんだ……。 恋人同士ってそんなもんだろ? 雄介だけが俺の事好きだけじゃあ成立しないんだよ……。 今まで、お前が俺を甘えさせてくれたんだから……今度からはお前も俺に甘えていいって事だ……まぁ、少しばかり遅くなっちまったけどな……」
最後の方は申し訳ないのか、それとも恥ずかしくなったのか小さな声ではあったのだが望からしてみたら精一杯の気持ちを雄介に告げる。
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