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ー崩落ー127
雄介はそこまで言うと望の体をシーツへと沈ませる。
だが、そんな雄介に望は腕を払い除けてしまうのだ。
そして望は下から雄介の事を見上げて、
「雄介……! やっぱり、お前は優しすぎだよっ! だけど……今の言葉は……」
始めの方は声を大にして言っていた望なのだが、急に顔を赤くし雄介から視線を離すと、
「……だからだな……その……言葉だけでお前が俺に対する愛情が伝わってきて、俺はお前の事惚れ直しちまったんだよ。 すっげぇ、今の俺は胸がドキドキってしてるしな」
こんな恥ずかしい言葉を好きな人の前で面と向かって言えるような望ではないのだが、やはり本当に好きになってしまった人の前ではもう誤解とかして欲しくないからであろう。 望の方も本当の事を口にするようになったのかもしれない。
雄介はその望の言葉に優しく微笑むと望の体を抱き締め、
「ありがとうな……望、本当の気持ちを言ってくれて、今のは今までで一番胸に響いたわぁ……望もホンマに今は俺の事が好きやねんな。 俺の方も望と一緒で今はもう胸も方がドキドキしとるわぁ」
望は雄介の顔を見上げると、
「こんなに体が密着してるんだ……お前の鼓動……俺にも伝わってきてるよ」
「あ、まぁ……せやな……」
二人の間から会話が途切れるとどちらとも言えない程に唇が近付きやがてその唇が重なる。
暫くして離れると望は、
「お前って意外にSなんだな」
と望はさっきまでの雄介の行為や言葉を思い出したのかそんな事を口にする。
「そりゃ、当たり前やんか……。 じゃなきゃ抱けへんやろ?」
「まぁ、それを自慢げに言う所ではねぇけどな」
望は雄介の事えお調子尽かせるような事を口にしてしまい呆れたように息を吐く。
「ほなら、望はバリバリのMやんな」
その雄介の言葉に望は目を丸くし顔を真っ赤にすると枕へと顔を埋めてしまう。
そんな望の様子に雄介は『マズい事を言ってしまった』という表情をし、こうなってしまった望を普通の状態に戻すのは至難の業だというのは雄介はもう知っている事だ。
さっきまでの甘い雰囲気はどこに行ってしまったのであろうか。 今はもう甘い雰囲気所ではなくなってしまった。
『口は災いの元』言うのだけど今まさにその状態なのかもしれない。
雄介は申し訳無さそうに、
「望……?」
そう呼んでみるもののやはり望からの返事はなかった。
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