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ー崩落ー140
だが、その時にもしかしたら望の足辺りにでも雄介の頭が当たってしまったのであろうか。 望が急に甘い声を出して動いたようにも思える。
雄介はその一瞬で体を起こし恐る恐る望の方に視線を向けると、いかにも機嫌が悪そうな望が半身を起こして座っていたのだ。
雄介は『マズい』とでも思ったのか、それと同時に焦ったような表情もすると、急に体を引っ張られ雄介は再び天井を見上げる形になっていた。
次の瞬間には望の顔のドアップが視界に入ってきて雄介の唇に生温かくて柔らかい感触を感じる。
「……望?」
「雄介……」
お互いの名前を呼びあった後は少しの間だけ沈黙が流れてしまったのだが、先に望の方が口を開き、
「俺はやっぱり、お前の事が好きだ……」
そう真剣に言う中で笑顔で言う望。 次いで雄介の方も笑顔になって、
「俺もお前の事が好きや……」
雄介はそう言うと、今度は雄介が望の腕を引っ張って望の唇に唇を重ねる。
朝からお互い仕事に向けて気合いを入れながらも怠い体を起こすのだ。
「とりあえず、俺は風呂に入ってくるな……」
昨日あんな事をしたのに今日の朝にはもう昨日の事はなかったかのように振る舞う望。
雄介の方も昨日あった事はなかった事にまではしたくはないのだが、昨日の事を引きずると望の機嫌が悪くなってしまうのは目に見えているのだから、そこは敢えて触れないといった所だろう。 そして雄介は望がお風呂に入っている間はテレビの方に視線を向けるのだ。
「また、今日から仕事頑張らないとな!」
雄介はそう独り言を漏らすと気合を入れる為に両頬を両手で軽く叩く。
望がお風呂から上がってくると、二人はホテルを後にし、望は雄介に事を仕事場へと送ってから自分が働いている病院へと向かうのだ。
昨日と同じ服の望。 和也にいじりの標的にされるのは間違いない事だろう。
【崩落】END
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