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ー過去ー1

 昨日は雄介とホテルに行った望。久々に二人だけの時間を過ごし、次に会う時までの愛情は補充できたようだ。  望は病院の部屋に和也より先に来て座っているのだが、昨日は寝るのが遅かったのと、やった時に自分が珍しく動いたことによって、今日はやたらと腰が痛い。 「これが、やった後に腰にくるってやつなのかぁ。って、昨日はちょっと調子乗りすぎたのかもな。自分から雄介のこと誘っちまったし……。あー、マジで腰痛ぇ……」  そう一人で部屋の中でぼやく望。そして気休め程度に腰を叩いてみるものの、治るはずもない。すると突然ドアが勢いよく開き、余計に体をビクつかせ、腰に響いてしまったようだ。しかも、いつものように彼は本当に元気がいいのだから、余計に腰に響いてきたのであろう。 「おはよー!  望!」  その元気な声に再び体をビクつかせる望。それと同時に背筋を伸ばしてしまい、腰に響いてしまったようだ。そのまま望は腰を押さえながら、机へと上半身をうつ伏せにしてしまう。  そんな望に和也は分かっているのか? 分かっていないのか? いつものように、 「どうしたんだ? 望?」  既に朝から疲れていそうな望にそう声を掛ける和也。 「……ってか、本当にお前って朝から元気なのな……」 「そりゃな……元気に決まってるじゃねぇか! この仕事やりがいあるしなぁ!」  そう笑顔で言う和也に対し、望の方は呆れたような表情をしていると、 「昨日はやっぱり雄介とホテルの方に行ったのか?」  どうしてこう和也という人間は、望の性格をよく知っている人物なのに、こうも言葉をオブラートに包まず、ストレートに聞いてくるのだろうか。そういうことをストレートに望に聞いたなら、確実に望に怒られるのは分かっているはずだ。そういうところは子供っぽいのかもしれない。 「あのなぁ……」  案の定、呆れたような怒っているような反応をしている望。そして望は和也に向かって何か言葉を続けようとしたのだが、どうやら和也に先に言われてしまったようだ。 「望が腰を押さえてるってことは、そこが痛いっていう証拠だろ? ってことは、昨日雄介とやって腰が痛いからそこを押さえてるってことになるんじゃねぇのか? 望が腰を押さえているってことは、そういう理由しかねぇだろうが……」  そうやってニヤけながら言ってくる和也に、望の方は腰だけではなく頭までも痛くなってくる。 「人間ってさ……痛いところがあると無意識に触ってしまうわけだし、摩(さす)ったりもするもんなんだよな。まぁ、それと普通の顔はしてねぇっていうのかな? しかも、痛いと俳優さんや女優さんじゃない限り演技なんてできるもんじゃないんだし、痛みで顔が歪んでいるっていうのかな? 望だって知ってんだろ? それに、昔、雄介が火災現場で怪我した時に望だって気付いたんだしよ。だから、俺だって望が腰を痛めてるってのが分かったんだからな。しかも、昨日の望は雄介と一緒だったわけだしさ……まぁ、恋人同士で一緒の時間を過ごしたんならそういうことだよな? それに、雄介から望が怪我したっていう連絡も入って来なかったんだから……まずそう考えた方が自然だってわけだ」

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