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ー過去ー10
「アレだな……。 その……俺は逆にそういう時には明るく振る舞うっていうのかな? ほら、普段も明るくて馬鹿な奴だけど、俺だって落ち込む時だってあるんだよ。 だけど、そういう時こそそんな姿を誰にも見せたくはねぇから、だから、俺的にはふざけただけなんだからな」
「ほらな……やっぱりそうなんじゃねぇか。 なぁ、前にも言っただろ? 人に頼っていいって時には頼っていいってな。 お前がちゃんと話してくれれば、俺は確実に相談に乗るって言ったじゃねぇか……」
「まぁ、そうなんだけどよ。 でも、今回の事は自分のせいであって、望達に相談できるような事じゃねぇだろ?」
望は一つため息を吐くと、
「ほら、また言った……。 言ってる側からそうなんだもんよー。 今、それを相談に乗ってやるって言ったばっかだろ?」
「だけど……望達に相談に乗ってもらったからと言って、解決できる問題なのか!?」
「そりゃ、やってみなきゃ分からないって事だろ? それってさ、相談する前から俺達に相談しても意味ねぇって言ってるもんじゃねぇか……」
「……まぁ、確かに望にそう思われても仕方ねぇって事だよな……」
「それにさ、前に相談してくれた時だって解決できた事もあっただろ?」
「まぁ、確かにそうだったな。 ゴメン……俺がまだ望達に心開いてなくてさ」
「ならさ、とりあえず今日は俺の家で話そうぜ。 ま、今日は雄介がいないけどな」
望は和也の背中を軽く叩き、更衣室に行くように促す。しかし、その瞬間、視界に入ってきたのはソファに座っている人物の姿だった。 二人は思わず体を固まらせる。
その人物に気づいた裕実は、
「どうしたんですか? お二人共、僕のことをお化けでも見たような表情して……。 失礼しちゃいますよね」
裕実は頬を膨らませ、和也や望を見上げる。
「なーんだ……裕実だったのか……」
「マジに焦ったぜ。 アイツだったらどうしようかと思った……ぜ?」
そこまで言うと、和也はあることに気づく。
「望……やっぱさ、裕実と実琴って似てね?」
「だから、それは朝俺が言っただろうが……」
「確かに言ってたかもしれねぇけど……ほら、朝の俺って冷静じゃなかっただろ? だから、改めてそう思ったっていうのかな?」
「そういう事か……。 でも、本宮君は兄弟はいないって言ってただろ?」
「確かにアイツは施設で育ってて、兄弟はいないって言ってたもんな」
その和也と望の会話に裕実は首をかしげる。 二人が話している意味が全く分かっていないからだ。
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