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ー過去ー22
「うん……まぁ、そういう事だな」
「大丈夫なのかよー。お前、新城の事嫌いなんだろ?」
「多分、もう大丈夫だろ? アイツが俺の事もう本気じゃねぇって言ってたんだしさ。それに、全くもってアイツ最近俺の所に寄って来る気配ねぇじゃねぇか……少なくとも前みたいに俺の事好きとかも言わなくなったしな」
「なら、平気なのか……。俺はそれでもいいけど、裕実の方はどうなんだ?」
「僕の方も別に構いませんけど……」
「なら、先ずはそれでいくか? それで、成功したらいいよな」
「……だな」
三人はやっと話を終え、肩から力が抜けたようだった。やっぱり今日、望の家で話し合いが出来て良かったというところだろうか。
「あれ? もう、こんな時間だったのか……」
望は壁に掛けてある時計へと視線を向けると、短針と長針がテッペンを指していた。
「やっぱり、泊まりにしてよかったのかもな……」
「別にー、十二時位なら今から家に帰っても十分に寝れるしなー」
「そうか、なら、家まで歩いて帰れよな」
そして望は裕実の方に振り向くと、
「裕実は歩いて三十分も掛けて和也の家に向かいたくはねぇよな?」
「ですね! 僕は望さんの家に残りますから和也の方は歩いて自分の家に帰ってもいいですよ」
裕実は瞬時に望の意図を察し、笑顔で望の作戦に乗っかったようだった。
「まったくー、二人でかかられたら俺は負けるんだからなー。分かった……帰らないよ。望をハメようと思ったのに裕実が望の肩を持つから失敗しちまったじゃねぇか……。ホント、こういう時の裕実っていうのは望の味方なんだからよ」
「引っかかったっていう自覚があるんだったら面白くねぇよな。まぁ、和也の罠にまんまと引っ掛からなくて良かったって事でいいか。とりあえず、どちらか先に風呂に入って来いよ」
「どちらかとは言わず、二人で……」
「和也って本当に空気読めない人ですよねー。今日は雄介さんがいないんですから、二人でお風呂に入りに行ったら可哀そうでしょう?」
その裕実の言葉に、和也はため息を吐く。
「分かりましたー。じゃあ、俺が先に入って来るよ」
そう言いながら、和也は肩を下げてお風呂場へと向かった。
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