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ー過去ー24
和也は軽く頷き、
「分かった、頼むぜ」
望も頷き返し、少し真剣な空気が漂う。
「それにしても、兄弟かもしれないって……なかなかのドラマだよな。偶然再会して、しかも恋人が兄弟かもっていう状況、普通に考えたらありえないけどな」
「まぁ、ドラマみたいだよな。俺も最初は信じられなかったけど、こうやって繋がりがあるかもしれないって思うと、なんか妙な感じだよ」
二人はしばらく裕実と本宮のことについて話していたが、やがてお風呂から上がった裕実がリビングに戻ってくる。
「お待たせしました、望さんもどうぞ」
「ああ、ありがとう。じゃあ、俺も風呂に入ってくるな」
望は立ち上がり、裕実に微笑みかけてからお風呂場へと向かった。残った和也は、裕実の方に目を向け、少しためらいながら口を開く。
「なぁ、裕実……」
「なんですか?」
「いや、別に大したことじゃないんだけど……お前、俺に隠してることとか、あるか?」
裕実はその問いに一瞬驚いたような表情を見せたが、すぐに柔らかな微笑みに戻し、
「和也さんには何も隠してませんよ。隠すようなこともないですし……」
和也は少しほっとしたように笑い、
「そっか、ならいいんだけどさ。いや、俺もお前のこと信じてるし、変なこと聞いて悪かったな」
「いえ、大丈夫ですよ」
二人の間に穏やかな空気が流れる中、和也は裕実のことをもっと理解したいと感じていた。
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