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ー過去ー25

「……複雑ってのは、俺も分かるよ。もし本当にお前と実琴が兄弟だって分かったら、俺もどう接していいか分かんなくなるかもな」  和也は真剣な表情で続ける。 「でもさ、俺は裕実が過去にどんな関係があったとしても、今ここにいるお前が俺の恋人だって気持ちは変わらねぇよ」  裕実は和也の言葉に少し驚いたように目を見開いたが、すぐに穏やかな笑みを浮かべる。 「ありがとうございます。和也さんがそう言ってくれるなら、少しは気が楽になります」  その時、望が浴室から戻ってくる。タオルで髪を拭きながら、二人の様子を見て微笑む。 「お、なんか真剣な話してたのか?」  和也は少し照れくさそうに肩をすくめ、 「まぁな。でも、なんか裕実にはっきり言えて良かったかもな」 「そうか。……そりゃ良かったな」  三人の間に穏やかな空気が流れ、望はリビングのソファに腰を下ろす。 「さて、そろそろ遅いし、今日はもう寝るか? 明日も色々と話す事あるだろうし」  和也と裕実も頷き、それぞれ自分の寝る場所を整え始める。

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