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ー過去ー27

「俺もそんな気がするよ……。雄介と和也じゃ、俺からしてみたら違う感じがするんだよなぁ。どう違うのか?っていうのは分からないんだけどさぁ」 「僕は和也と付き合ってみて今は良かったって思ってますからね。それはそれでいいんじゃないんでしょうか?」 「まぁ、そうだな。さて、そろそろ寝るか……」 「そうですね……では、おやすみなさい」  裕実はそう言うと目蓋を閉じる。望の方も裕実とほぼ同じ位に瞳を閉じた。  そして次の朝。三人はそれぞれの目覚まし時計で目を覚ますのだが、和也は客間と望の部屋の間にある襖を思いっきり開け、大きな声で、 「おはよー!!」  と叫ぶのだが、何だか朝から和也は二人からの冷たい視線で体を固まらせていた。 「和也! 失礼過ぎます!」 「お前の大きな声には慣れたけどさぁ、いきなり、そこを開けるのは止めてくれねぇか? 俺達は今着替えてんだからな」 「はいはい……分かりましたよ」  和也は朝から二人にそう攻撃されてしまい、大人しく襖を閉めると仕方なく自分も着替え始める。 「何も二人して言わなくてもいいじゃねぇか……」  どうやら雄介がいない時というのは、完全に和也は蚊帳の外扱いだ。  やがて、襖の方は開けられ、 「和也ー、中に入って来てもいいですよー」 「もういいよ。着替え始めたしな……」 「そうですか。じゃあ、僕達は先に下に行ってますね」  裕実は和也にそう告げると望にアイコンタクトを送り、下へと向かう。 「和也って、本当に分かりやすい性格ですよねー」 「だろー」 「多分、僕がああ言ったから、今、いじけてますよ」 「とりあえず、そろそろ和也が可哀そうだし、裕実から和也にキスでもしてやれよ。但し、俺がいない所でな。流石に俺がそんな所見てらんねぇし」 「分かりました。じゃあ、今行って来ますね」 「ああ……」  望は裕実に手を振ると朝ご飯を作る為にキッチンへと向かい、裕実の方は二階へと引き返すと和也の様子をうかがうようにドアの隙間から和也の様子をうかがう。  和也はどうやらベッドの端に座り、靴下を履いているようだ。  裕実は和也に気付かれないようにドアをゆっくりと開け、忍足で部屋の中へと入り和也の体を抱き締める。 「和也、ゴメンなさい……」 「何がだよ」 「今日は和也の事構ってあげなくて……」 「別に俺の方は気にしてねぇよ。裕実の気持ちも分かるし、望の気持ちも分かるしな」

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