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ー過去ー30
和也は一旦言葉を止めて裕実の方に顔を向け、
「お前は実琴との関係を暴きたいと思ってるのか?」
いきなり真面目な問いを裕実に投げ掛ける。
その質問に、裕実は顔を俯けながら答えた。
「実のところはそうでもないんですよね。それは……あ、いや……な、なんでもありません」
何かを言いたそうだったが、裕実はそこで言葉を止めてしまった。
「ほらな……望、俺たちだけなんだよ。裕実と実琴のことを知りたがってるのはさ」
和也は裕実が言いかけたことをわざとスルーし、望にそう告げる。
「そっか……裕実がそういう気がねぇんなら、俺たちが口を出してもダメだってことか」
「そういう事だな」
「分かった……。じゃあ、裕実と本宮君のことは調べないとして、本宮君をなんとか和也から離すようにする方を優先的にしてみるか?」
「だな……。今日から暫く俺は望と離れるのかー。なんかそういうの、喧嘩して以来だな。まぁ、あん時はついた先生が悪かっただけなんだけど、今回は新城だから大丈夫か」
「くれぐれも新城とは喧嘩しないようにな」
「分かってるって……とりあえずは気をつけるよ」
「……ってことはさぁ、俺、朝から親父の所に行かないといけないのか?」
「回診ついでに行ってくればいいんじゃねぇ? あの事故から、まだ、完全復帰してねぇだろ?」
「まぁなぁ。命には別状なかったんだけど、まだ医者として復帰できるかといえば、まだまだだしなぁ。全治一ヶ月っていうところかな?」
望は病院の駐車場に車を止め、車から降りた。
「とりあえず、仕事! 仕事っと!」
車から降りた望は伸びをしながら言い、
「先に部屋の方に行っててくれねぇか? 俺は親父に話してくるからさ」
「ああ……」
和也は望に向かって手を振り、裕実と一緒に部屋の方へ向かう。
望は裕二がいる病室へ向かい、ドアをノックしてから病室の中に入った。
「あのさぁ」
「ん? 朝から珍しいお客さんだね……」
「まぁ、そこはいいんだけどさ、とりあえず、今日から暫く本宮裕実さんと梅沢さんを交代してもらえないか?」
「どういう事かな? まさか、和也君と望が喧嘩したって訳じゃないだろうね?」
「それはねぇよ……。色々と事情があってな」
「そうか……まぁ、望がそうしたいって言うんだったら、そうしても別に構わないんだけど……。そうそう! 望……本宮裕実君と本宮実琴君の関係は知ってるのかな?」
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