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ー過去ー51
雄介は望の言葉に小さく吹き出すと、その雄介の行動を望が見逃すはずがないだろう。それを見た瞬間、望は顔を真っ赤にしていた。望の中では、恥ずかしさと怒りが混じっているのかもしれない。
「ゆ、雄介! そこ! 吹くところじゃねぇんだからな!」
「いやなぁ……今まで、なかなかそれを言えなくて、望が言葉を溜めていた理由がそれで……それを悩んでた望が相変わらず可愛えなぁって思うてな」
「あー! もう! うるせぇから!」
望はそう言うと、やはりというところであろうか、雄介から背を向けて反対側を向いてしまう。
その望の行動に、雄介は幸せそうに息を吐くと、
「やっぱ、そんな望のことが好きや。ホンマ、俺ってむっちゃ幸せやなぁって思うとるしな……」
雄介は反対側を向いた望の背後から彼を抱きしめる。
そんな雄介の行動に、望が幸せそうな笑みを浮かべたのは言うまでもないだろう。
そして、いつの間にか眠りについてしまっていた。きっと今日の二人は甘いムードのまま夢の住人になってしまい、夢の中でも幸せいっぱいの夢を見ていることだろう。
次の朝。二人は同時に目覚まし時計の音で目を覚ますと、雄介の方は寝ぼけているのか、それとも夢の続きだと思っているのか、まだ完全に起き上がっていない望の唇に唇を重ねる。
朝から雄介の濃厚なキスに、望は鼻から抜けるような甘い声を上げるが、雄介からの突然のキスに心の準備ができていなかったのだろう。すぐに息が上がり、苦しくなったのか、雄介の背中を二回ほど叩く。
すると、雄介はやっと気付いたらしく、望の唇から離れると、
「あ! スマン! まだ夢の中やと思うとったわぁ」
そう朝からぼけている雄介に対し、望は今まで呼吸ができなかった分、肩で呼吸を整えると、
「もう、目覚まし時計が鳴って起きてるんだから、夢と間違えるなよな。それに、朝は忙しいんだから、そんな暇はねぇんだよ!」
昨日の甘いムードとは違い、望は本当に真面目な表情で言うのだ。
「せやな……確かに、望の言う通りやったわぁ。仕事やっちゅうのに、朝からこんなんじゃあ仕事でヘマやらかしてしまうわなぁ」
「そうだよ! ちゃんと仕事とプライベートとわきまえろ」
望はそう呆れたようなため息を吐きながらベッドから起き上がると、パジャマからスーツへと着替え始める。
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