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ー過去ー58

 そんな和也の様子に、裕実は気付かない訳がないだろう。 「いや、別に……」  すると和也は裕実から視線を外してしまう。 「分かってますよ。和也との約束、守りますから……」 「まぁ、それもあるんだけどなぁ。もし新城が実琴とくっつく事になったら、俺たちの方もラブラブになれるかなぁ?って思ってよ」 「確かにそうですね……多分」  裕実はそう最後の方を小さな声で言うのだが、どうやら和也の耳にはちゃんと裕実の言葉が届いていたらしい。 「多分……って、どういう意味だよ? 絶対の間違いだろ?」 「ごめんなさい……。やっぱり、僕の過去の事を和也に話してしまうと、和也と離れてしまうんじゃないかと不安なんです」 「そこ、そんなに深刻な事なのか?」 「和也、本当にごめんなさい。和也がそんなに聞いてきても、とりあえず、約束の時までは和也に話す事はできませんから」 「あ、ごめん……つい癖で言っちまったけど……確かに裕実の言う通り!約束の時までは聞いちゃいけなかった事だよな?」 「はい……すみません……」  裕実は本当に申し訳なさそうにしている。  裕実が和也に向かって言えない話というのは、そんなに深刻な話なのであろうか。 「ま、いーや……そろそろ行こうか?」 「ああ、そうだな……」 「そうですね」  三人は同時に席を立ち上がると、食器をカウンターへと戻し、部屋の方へと戻って行く。  それから、いつものように仕事を終えると、和也の部屋ではさらに実琴と新城の間で進展があったようだ。 「本宮君。今日、一緒に食事に行かないか?」 「別に僕の方は構いませんよ」 「梅沢君も……って聞いてもきっと恋人がいるから行かないって言うだろうし、とりあえず、二人の仲を深める為には食事位はいいかな? って思ってね。勿論! 僕から君の事を誘ったのだから、僕の方が奢るし君は心配しなくても大丈夫だよ」 「ありがとうございます」  その二人の会話に和也は一瞬だけにやけた顔になったが、掃除をとりあえず終わらせると急いで着替え、隣の部屋にいる望たちの所へと向かう。 「よっし!あの二人がいい感じなんですけどー!」  望の部屋に入ってきて、早々にそうでかい声で言う和也に対し、

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