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ー過去ー66
「本当ですね。雄介さん達は、ああやって頑張ってるんですね。いつもは笑顔ばっかりなのに、今日は真剣な目つきで仕事していて、今日の雄介さんっていうのは、こうなんだか輝いて見えますよね」
「だよな……。あんな雄介の姿を見るのは初めてかもしれねぇな。なあ、望はあんな雄介の姿、見たことあるのか?」
そう言って和也は、わざと望に話題を振ったようだ。和也の方はバックミラー越しに望の様子を伺う。
「ああ、まぁ……」
「お前さぁ、今の雄介の姿を見てねぇのによく答えられるよな。今はそんなに雄介のこと見たくねぇのか?」
その和也の言葉に、望は怒ったような表情で顔を上げると、
「お前さぁ、今、雄介と俺が喧嘩してんの知ってんだろ?今はとりあえず、どんな雄介でも見たくねぇんだよ!」
「でもさ、本当に雄介のことを嫌いになったわけじゃあねぇんだろ?なら、見てもいいんじゃねぇのか?」
「惚れ直すかもしれませんよ」
和也の言葉に付け足すように、裕実も言うのだ。
「ほら、裕実も言ってんだからよ」
「分かったよ」
望はそんな二人に押されてなのか、窓の外に視線を向けると、和也と裕実の言う通り雄介の姿がそこにはあった。
和也の言う通り、家では絶対に見せないような表情で、事故があった車の中から人を救助していた。
望がじっと車の中からその様子を見ていると、雄介がちらりと望の方へ視線を向け、二人の視線が合う。
その視線に、望は思わずドキリと心臓が高鳴ってしまったようだ。
「なあ、和也……俺達も助けに行かないか?」
「別にそれはいいんだけどよ。流石に車を渋滞してる中に置いておく訳にはいかないだろ?こう少しずつでも動いてるんだからさ」
「なら、俺だけでも行ってくるよ。こんな現場を見て見ぬふりなんかできねぇからさ……。和也はそのまま運転してって、家の駐車場に車置いて来てくれればいいから」
「ああ、そうだな」
望がそう言って車から降りようとした瞬間、
「僕、望さんと一緒に事故現場の方に向かいます!僕の方も今まで我慢してきましたが、望さんのように見て見ぬ振りなんかできませんからね」
「分かった……なら、行こうぜ」
二人は車から降りると、雄介がいる事故現場へと向かうのだが、やはり事故現場だけあってか、関係者以外立ち入り禁止のテープが張ってあった。
「ちょっと!君達!勝手にここに入ってもらっちゃ困るんだけど」
「確かに僕たちは関係者ではないんですけど……医者です!だから手伝いに来ました」
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