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ー過去ー69

 一旦、雄介は言葉を切ると、 「俺が言うてたこと気にすんなや。ただ単に思わず言ってもうた言葉やしな。その……和也たちは帰って来てからご飯作るんやし、そこはな、作ってくれているだけでも感謝せなアカンとこやしな」 「でもさ……雄介の言う通りでもあるのかな?とも思ってたよ。だから、今日はちゃんと作ることにしたからよ」 「気にすんなよって言うたやんか……」 「今日はただ単に俺が名誉挽回のために手の込んだ料理を作りたいんだよ。いつも望に料理作ってやるときにはさ……焼きそばとか手を抜いた料理だったし、俺が料理できるとこ見せてやりたいだけだからさ」  和也は気合を入れるような声を出し、腕まくりまでするのだ。 「さよか……。まぁ、ほんなら無理はすんなや」 「ああ、無理しない程度に作るよ」 「よろしくな。ほな、そろそろ俺の方は行くなぁ」 「ああ、頑張って来いよ!」  和也はいつものように元気な声で雄介に向かって手を振る。 「さて、俺も行くか?」 「そうだな……」 「家まで歩きだけど、文句はねぇよなぁ?」  ふざけて言う和也に、望は呆れたように息を吐くと、 「車はお前が持っていっちまったんだから当たり前だろー」 「じゃあ、行くか?」 「ああ……」  三人は歩き出し、スーパーに向けて歩き始める。 「これで、俺たちが雄介と望の間に入らなくて済みそうになったな」 「まぁな……って、和也、それってどういう意味だ!?」 「そのまんまの意味なんだけどなぁ。もしさ、雄介と望が暫く喧嘩してるのなら、明日、裕実と考えていたことがあったんだよ。それが必要なくなったってことかな?な、裕実」  望と話していた和也だったが、最終的には裕実の方に話を振る。 「そうですね。ちゃんと二人共反省していたみたいだったので、今回のことは良かったですよ」 「そうだな……」  二人は笑顔で嬉しそうな顔をしていたが、望はまだ納得いってないような表情をしている。 「だから、それはいいとして……和也……それはどういう意味だって聞いてんだけどな」  和也は望の言葉にひと息つくと、 「まぁ、別に隠す必要もねぇんだけど。明日は仕事が終わってから裕実が望と食事に行って、俺は雄介のところに行って、喧嘩した原因とか、また望と雄介が仲良くなるにはってのを話す予定だったんだよ……」 「そんなことする予定だったのかー。んー、でも、確かに一回くらいは裕実と一緒に食事してみたいもんかな?」

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