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ー過去ー70

 何故だか望の方はそうふざけたように言うと、和也の方は、 「望……それは、あくまで二人が喧嘩をしていて、俺が雄介と話をしている間ってやつだから、別に普通の時っていうのは実行しなくてもいいんだよ」 「でも、たまにはいいんじゃねぇのか? なぁー、裕実」  その話を裕実に振る望。 「そうですね! たまには僕も和也とではなく、他の人とゆっくり話してみたいって時もありますからね」 「だぁー! 俺が悪いから、二人して言わないでくれねぇか? それに、二人にダッグ組まれたら太刀打ち出来なくなっちまうんだからよー」  和也は手を合わせ頭を下げてまで言ってるのだから、本当に勘弁して欲しいのであろう。 「でも、その提案、たまにはいいんじゃねぇのか? 俺が裕実の事を和也から取るんじゃなくて、和也は雄介と話をして、俺は裕実と話するっていいんじゃねぇかな? 確かにいつも一緒にいるのはいいのだけどさ……たまには少し距離を置くっていうのも、息抜きみたいな感じでいいんじゃねぇかと思ってよ」 「あー、確かに、冷静になって細かく聞くと、たまにはいいのかもしれねぇよな? それに、恋人同士でずっといるのもいいけど、たまには友達同士で付き合うっていうのも悪くねえのかも……」 「そういう事だ。 ついでだから、それ、明日実行してみねぇ?」  何故だか望は和也に向かい、目で合図を送る。  だが、流石の和也の方も、望からの目だけの合図では、望が何を言いたいのかが分からないようだ。  和也は望の方へと近付くと、小さな声で、 「今の合図に意味ってどういう意味だよー?」 「お前にしては珍しいのな……俺からの目の合図で、俺が何を言いたいのかが分からなかったなんてさ……」 「それはいいからさ……答えの方を教えろよ……」 「前にお前が言ってたじゃねぇかー。 裕実が隠し事している事があって、俺には話すかもしれねぇって事だよ。 だから、明日二人きりになれた時に、上手く聞き出せるような時には聞き出してやるよ……って意味だったんだけどな。 だけど、アイツって結構、勘とかっていうのが鋭いから、まぁ、期待しないで待ってろよな」 「あ、あー! そういう事か! 分かった……そこは頼むぜ」 「ああ……」  和也はそう言うと再び裕実の隣へと行き、スーパーへ向けて歩き始める。  いつもなら車で数分の距離なのだが、今日は事故があって車は和也が家に置いて来てしまったのだから、歩いて帰るしかないという所だろう。 「でもさ、たまには歩くのもいいのかもな……」 「ですね。 いつも車ですから、たまには足を使わないと、衰えてしまうのが早くなってしまいそうですしね」

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