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ー過去ー71
「歩いてると、いつも見えない景色が見えてくるもんだしな。 望の家に向かう途中って、こういう昔ながらの商店街ってのがあったんだな」
「そうだな。 いつもここは車で通るだけだし、買い物って言ったらどうしても駐車場のあるスーパーの方に行っちまうしな」
「ならさぁ、今日はせっかくだし、商店街の方で買い物していかね? なんかこの商店街の雰囲気って、小さい頃を思い出す感じだしさ……。 もうちょいゆっくりしたい気分になるっていうのかな?」
「俺の方は別に構わないぜ」
「僕の方も構いませんよ」
「なら、そうするかー。 商店街だとスーパーとは違って値切れたりするしな。」
「お前なぁ、値切るとかケチなこと言ってんじゃねぇよ。 金はあるんだろ? なら、普通に買えばいいじゃねぇかー」
「あ、そうだったな……」
和也は軽く舌打ちをすると、店が並ぶ側を歩き続ける。
だが、さすがにもう夜の七時半ということもあって、ほとんどの店は店じまいしていて、明かりが漏れている店はわずかしかない。
そんな中、和也はある店で足を止め、
「懐かしいなぁ! まだ、この時代にも駄菓子屋ってのは残ってるもんなんだな」
「本当……確かに、駄菓子屋っていうのは珍しいよな? 俺は、ばあちゃんに育てられたようなもんだから、よく連れてきてもらったって記憶があるなぁ」
「駄菓子屋ってなんですか?」
二人が幼い頃の思い出に浸っていると、裕実の言葉で現実へと引き戻されたようだった。
「何!? お前……駄菓子屋も知らないのか!? どんだけお坊ちゃんだったんだよー。 いいお菓子でも食ってたのか?」
「あ、いや……ち、違いますよー。 僕がお坊ちゃんなわけないじゃないですかー、ごく普通の家庭でしたよ。 まぁ、学校ではいじめられてたんで、友達とはこういうお店とかには行ってなかったっていうんでしょうか? 学校が終わったらすぐに家に帰るっていう子供でしたからね」
「あー、今で言う、引きこもりっ子だったってことか……」
そう和也は裕実の言葉に納得すると、
「ならさ、入ってみねぇ?」
「さすがに小さい頃ってのは入れたもんだけどさ……大人になってから駄菓子屋に入るってのはちょっとな」
「別に俺は望に無理やりお店に入ろうって言ってねぇよ。 裕実が知らないっていうから、入ってみようって思っただけだしな。 それに、自分が恥ずかしいって思ってても、裕実が楽しんでくれればいいって思ってるしさ」
和也は言いたいことを望に伝えると、今度は裕実の方に顔を向け、
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