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ー過去ー99
久しぶりの関西弁に、望はそのメールを見て笑顔を浮かべた。
たった一日会えていないだけで、懐かしく感じるのは気のせいだろうか。
いや、普通の恋人同士でもメールをする時間は限られているのかもしれない。だが、望と雄介の場合、本当に丸一日メールをする時間すらほとんどないのだから、そう感じるのも無理はないだろう。
「待ってるかぁ……」
雄介のメールの内容にため息をつき、背もたれに寄り掛かる望。
「『待ってる……』じゃなくて、迎えに行くって訳じゃねぇけど、会いに来てくれてもいいんじゃねぇのか? もし、雄介も俺と同じ考えをしてるならさ」
望はそう一人車の中でぼやいていると、突然、助手席側の窓がノックされ、驚いて顔を上げた。
そこには警察官が立っており、それに気付いた望はゆっくりと窓を開ける。
「只今、検問中でして……」
警官の言葉に、一人納得する望。
確かにこの道は普段それほど混まない。だが、昨日に引き続き今日も渋滞しているのだから、不思議に思っていたところだった。
昨日は事故渋滞だったが、今日はどうやら検問渋滞のようだ。
「何の検問ですか?」
「飲酒ですよ。息を吐いてもらえますか?」
警官の言葉に、望は指示通り息を吐いた。
「大丈夫ですね。ありがとうございます」
それだけ言うと、警官は望の車から去っていった。
「まったく! こんな日に飲酒検問やらなくてもいいじゃねぇかよ!」
車内に響き渡るような声を上げる望。
その後、先程よりはスムーズに車が動くようにはなったが、まだ家の近所にすら入っていない。
望が息を吐きつつ背筋を伸ばしていると、再び窓をノックする音が聞こえてくる。望は窓の外へ視線を向けると、そこには思いもよらない人物が立っていた。
「よ! 渋滞に引っかかってるって聞いたしな……迎えに来てもうたんや」
「……え? 雄介?」
望は未だに現実を受け入れられない様子で、少しパニック状態になっているようだ。
「とりあえず、ドア開けてくれへんか?」
「あ、ああ……おう……あ、ああ……そうだったな」
望はドアのロックを外すと、雄介はそのまま助手席に座り込んだ。
「我慢出来へんかったんや。いつもより遅くなるって言ってたしなぁ。もしかしたら今から出たら間に合うかもしれへんって思うて来てみたら、まだ渋滞に引っかかっとったって訳やな」
「そっか……」
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