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ー過去ー110
「確かに俺は決断力には欠けてるのかもしれへんなぁ……望の言う通り優柔不断なとこあるし」
「だろ? だから、向いてねぇって言ってんだ」
「ほんなら、看護師タイプなんかなぁ? 看護師は命令される側やろ?」
「確かにそうなのかもしれねぇが……お前がKC……」
そう言いながら、きっと望は雄介のKC姿でも想像しているのだろう。だからなのか、気付いた時には顔を真っ赤にさせていた。
「……へ? え? 急にどないしたん? のぼせてまったのか!? こんな所で話するんやなかったかなぁ?」
雄介の方は、急に望が顔を赤くしたことにあたふたしている。しかし、すぐに望の方は立ち直ったようだ。そして、一回咳払いをすると、
「だ、大丈夫だ……な、なんでもねぇからよ……。とりあえず、体洗って出ようぜ。マジでのぼせちまうからな」
「ああ、せやな……」
雄介は浴槽から上がると、先に体を洗い始める。
とりあえず、望が今考えていることが雄介にバレずに済んだというところだろうか。
雄介が洗い終えると、今度は望も洗い始める。そして、二人はお風呂から上がった。
その後、いつものようにベッドへと向かう二人。
望が先にベッドへと横になると、雄介にしては珍しく上から望の両手を押さえつけ、真剣な瞳で望のことを見つめながら言った。
「な、望……前に、休みの前の日にしか望のこと抱かないって言うてたけど、キス位はええねんやろ?」
その雄介の真剣な目つきに、望の方は急に顔を赤くさせながら頷く。
「ほなら……」
雄介はそう言うと、ゆっくりと望の唇へと唇を近付ける。
もう何度もキスをしてきたか分からないのだが、やはり恋人とのキスというのは、こんなにも甘く感じるものなのだろうか。
暫くして雄介は望の唇から離れると、
「暫くぶりにしたって感じがするわぁ。ホンマ望の唇っていうのは甘いな」
「うるさい……」
「ホンマ、望って素直やないんやからなぁ。まぁ、俺の方は優柔不断なんやけどな……」
望はその雄介の言葉にクスリと笑い、
「やっと、自分が優柔不断だって事を自覚したのか?」
「せやな……前から薄々とは気づいておったんやけど、こう他人から言われるともっと自覚したっていうんかな?」
「じゃあ、雄介は優柔不断な所を直せばいいだろ? それで、俺の方は素直じゃない所を治していけばいいんじゃねぇのか?」
「せやな!」
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