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ー過去ー111

 雄介はベッドの上に横になると天井を見上げる。 「雄介……?」  急に望の上からいなくなってしまった雄介。 望は雄介の方へと顔だけを向ける。 「ん? 何?」 「あ、いや……別に……今日はもう何もしないのかなぁ? って思ってよ」  そういう言葉にまだ意識して言っている望は、言葉にぎこちなさがあるのだが、そこはあえて雄介は突っ込まずに、 「んー、せやな……今の俺はキスだけで満足したしなぁ。 まぁ、本番の方は今度の休みの時なぁ、それまで我慢するって自分で決めたしな」 「そっか……。 だけどさ……」  望はそこまで言うと口をごもごもとさせ小さな声で、 「でも……もっと……お前の温もりを感じてたいかなぁ? って思ったんだけど……」 「んー」  その望からの申し出に雄介の方は渋い表情をすると、望の耳側で、 「ホンマはシたいねんけど……これ以上、お前の触れてまったら我慢出来なさそうな気がしてきてな……せやから、もう、今日は望に触れるのを控えておっただけなんやって……あー、まぁ、後は望次第ってところなんかな?」  逆にそこまで雄介に言われたら、ハッキリと言える訳もなく、 「な、雄介……お前さぁ、どれくらい抜いてないんだ?」 「そりゃあ、あの時以来やしな……」 「だよな……。 それならいい加減抜かないとまずいよな?」  望はそう雄介に確かめるように聞くのだ。 「まぁな……」  望はため息を吐くと仕方なさそうに。 「いいよ……お前のだけ抜いてやる」 「あ、いや……別にっ……ええって……お前に抜いてもらわなくても我慢出来るしな」  そう慌てて言う雄介に対して、望は、 「……ってか、お前ってなんか不思議なんだよなぁ? 何で、そういう事は俺にやらせないんだよ?」 「なんやろ? ただ単にやらせたくないだけやって……。 望の中に挿れさせてもらえるってだけで十分気持ちええのに、更に舐めて欲しいって事は俺からしてみたら出来へんねんなぁ」 「ホントに珍しい奴だよな……支配力みたいなのはねぇんだからなぁ」 「そないに不思議なもんなんか?」 「ああ……」 「ほな、望がもしタチやったら俺にやらせておるんか?」 「んー、どうなんだろうなぁ? 実際にそんな立場になった事ねぇし……。 でも、アレってさぁ、気持ちいいもんだろ?」 「ん? まぁ……確かにそうやねんけどな……」 「それなら、俺にやらせてくれたっていいじゃねぇかよー」 「お前にやらせる位なら、自分で抜いた方がええわぁ」 「そっか……。 なら、自分で抜いて来いよ。 待ってるからさ……」

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