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ー過去ー123
「みたいだなってな……テレビ見て俺たちは知ったよ」
「……で、白井は犯人を逮捕しただけって感じだったしな」
「まぁ、アイツが逮捕したから、警察じゃアイツの手柄になってるんじゃねぇ? せっかく、雄介が乗員乗客を全員助けても結果はそうなっちまうもんなぁ」
「まぁな……」
「後は雪山での遭難にトンネル事故かぁ。俺たちが巻き込まれた事故はさ」
「和也だけなら、船もあったんじゃねぇのか?」
「ああ! そうだったな! つーか、俺たち巻き込まれ過ぎだったんだな」
「でも、怪我したり入院したりしているのは俺と雄介だけだよな」
「あー! それはあるのかもな。望は誘拐されたこともあって、そん時に腕をやったり、入院したり、記憶喪失でも入院したっけな?」
「それはデパート火災に巻き込まれて、一酸化炭素中毒で脳に酸素がいかなくなっちまって記憶喪失になったんだろ?」
「まぁな……。怪我したことがない俺たちって何気に運が強いのか?」
「強いんじゃねぇの? 入院なんかはしない方がいいしな」
とりあえず話が一区切りついた頃、望はご飯を食べ終え、
「よっし! 次は新城たち!」
と和也は気合を入れて立ち上がり、先ほどのように壁に耳を付けた。しかし隣からは全く話し声が聞こえてこなかったようだ。
「……へ? まさか、アイツら帰っちまったのか?」
「どうかしたのか?」
「声が聞こえてこないんだよなぁ?」
「確かに、俺たちより先に来てたからな、帰っちまったって可能性はあるよな?」
「しかし、焼肉を焼いてる音も聞こえてこないんだよな」
和也はいくら壁に耳を当てても聞こえてこない声に、不思議そうな表情を浮かべていた。
「マジかよー。せっかくプライベートでアイツらに会えたっていうのによー。これじゃあ、まだ謎は残ったままじゃねぇか……」
和也は壁を背に向け、そのまま床へと腰を下ろした。
「ま、俺たちがアイツらのことを盗み聞きしようとしていた罰なのかもしれねぇな」
「まぁな。今日は諦めるしかないか」
和也はすぐに気持ちを切り替えると、今度は何故か窓の方へと移動する。
和也が窓際へ向かった理由は、その窓から駐車場を見渡すことができるからだ。新城たちがまだ帰宅していないかを確かめるために、カーテンを開ける和也。
「……ってか、まだ新城たち帰ってねぇぜ。だって、新城の車止まってるんだけど」
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