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ー過去ー124
「じゃ、まだ、隣に居るんじゃねぇの?」
「だよな。 そういう事になるんだよなぁ。 でも、物音一つしねぇから、マジで隣に人が居る気配だってしねぇんだぜ。 まさか、やっぱり、こんな所でヤってるとかー!? あー、いやいやいやー、有り得ない! だって、実琴は結構声上げるもんだしなぁ。 そんでもって、めっちゃ欲しがるしー、そういう声の時はせめて実琴の声が聞こえて来てもおかしくはねぇ筈なんだけどな」
「何、一人でぶつぶつ言ってんだよ。 そんな事言ったら裕実が可愛そうだろ」
「まぁ、そうなんだけどさ……。 んー、まぁ、あれから随分と経ってるし、実琴が少し大人になったっていうのも考えられるしなぁー、例えば新城にテクがあったとしたら実琴の事を大人しくさせる事が出来るって可能性はあるのかなぁ?」
「とりあえず、もう、いいんじゃねぇ? 行こうぜ……アイツ等にもし進展があれば、また、分かるかもしれねぇしよ」
「んー……ま、まだ、納得いかねぇけど……望の言う通りかー、よし! 行くぞ!」
和也は立ち上がると、望も裕実も立ち上がる。
そして望が会計を済ませた直後、和也の方は何故かにやにやとしながら、
「今日は本当に二人で過ごしていいのか?」
「別にいいって言ってんだろ……。 だって後は帰って寝るだけなんだからよ」
そんな望の顔つきに和也の方は安心したのか、
「じゃあ、今日は二人で過ごさせてもらうな」
「ああ、じゃあな」
「おう!」
和也は望に向かい手を振ると、望は自分の車へと乗り込み家へ向かうのだ。
そして次の日の朝。 望が病院へと着くと先に来ていたのは和也達だったらしく、駐車場には和也の車が止まっていた。 そして和也の車の隣には昨日、和也が言っていた通りにシルバー色の車が止まっていた。
「流石は和也だよな。 ちゃんと新城の車を覚えてたって訳だ。 確かに昨日、焼肉屋の駐車場に止まっていた車のナンバーと同じだしよ」
望は駐車場を歩いて自分の部屋へと向かうと、やはり昨日同様に裕実はソファに座って待っていた。
「おはよー」
「おはようございます」
「昨日は久々に和也とゆっくり出来たのか?」
望は鞄と上着をソファへと掛けると欠伸をしながら体を伸ばすのだ。
「聞いて下さいよー! 望さん!」
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