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ー過去ー126

「あのさぁ、もしかして、本宮君が既に誰でも良かったって場合にはどうなんだよ」 「そう。望は何で疑うのかな? まぁ確かに実琴の場合、その可能性はあるんだけどさ……新城の場合には違うと思うんだけどな。もしそうだとするならば、実琴は浮気ってことになる訳だろ? そうそう! だって俺たちの方は、まだ完全には別れてない訳だしさ」 「でもさ、ホテルとか行くんだったら、焼肉屋の方がバレないって思うんだろうしー」 「なら、俺が朝、新城たちの部屋に入った時にその話は止めるんじゃねぇのか? 話を止めなかったってことは、実琴はもう俺のこと諦めてるんじゃねぇのかな? つーか、基本的なこと忘れてたんじゃねぇのかな? 今まで悩んでた俺たちが馬鹿みてーじゃん! だってさぁ、今まであいつら俺の前でそんな話をしてたんだぜ。まだ俺と実琴が完全に別れてないのにさぁ、そんな話をするってことはさ……実琴は俺のこと完全に諦めたってことになるんじゃねぇのかな? だって、実琴と新城がやったってことはさ、浮気になるんだろ?」 「そう言われてみればそうだな……。ってことは俺らの考えすぎだったってことになるのか? つーか、誰も浮気なんかしないもんだから、そこまで頭が回ってなかったのかもしれねぇな。なら、和也……本宮さんに別れを切り出すのは今なんじゃねぇ? ちゃんと本宮さんとのことを終わらせて、裕実と再出発するんだろ?」 「ああ! 当たり前じゃん! よし! 明日、仕事が終わったら、実琴に別れを告げるよ!」  和也の方は急にスッキリしたような表情をすると、気合いを入れるように拳を握る。 「そうだな……これで裕実の方も安心したよな」  望は裕実の方に顔を向けると笑顔になる。 「はい!」  やっと幸せを噛み締める三人。今まで悩んでいたことが解決し、本当にスッキリしたようだ。 「明日が終われば明後日は休みだしー、再出発にはいい日だよな。丸一日空いてる訳だし、裕実とはデートできるしさ……。って、明後日は望の誕生日なんじゃねぇ?」 「ん? あ、ああ……まぁな……」  別に和也には知られたくなかったのか、望は詰まらせたような返事をするのだった。

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