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ー過去ー127
「別に俺たちはお前たちの邪魔しようとか思ってねぇし、大丈夫だからよ。とりあえずさぁ、明日の夜は望の家でちょっとしたパーティーみたいなことはしたいかな? ま、一日早いけどさ……それに明日の夜は雄介もいないんだろ? ま、それが終われば俺たちの方は帰るからさ」
「本当にお前はお祭り好きだよなぁ。ま、明日の二十三時五十九分までにならいいかも」
「なんだよそれー。ま、分からないでもないけどさ。とりあえず、明日は実琴と別れを告げて、それから望の場合には誕生日パーティーで、裕実とは再出発パーティーってことでいいんじゃねぇ?」
久しぶりに和也の元気いっぱいの表情に、望は安心したのか机に向かって仕事を始めるのだった。
それからすぐに裕実は掃除を終わらせ、和也と裕実の方は先に上がる。一方、望はその一時間後に仕事を終わらせて家へ向かう。
今日は昨日とは違い、一人ではない。家に帰れば温もりがある。そう、今日はきっと雄介が夕飯を作って待っていてくれるだろう。
いつもと変わらない道を、渋滞もなくスムーズに帰宅する望。
家のドアを開けると、望はいつもと変わらない雄介の笑顔を見て安心したようだった。
「おかえり……」
「ただいま……」
『ただいま』と言えば返事がある家。やはり、そこに小さな幸せを感じる。
「今日はやなぁ、カレーやでー!」
「カレーか……俺もちょうど食べたくなってたし、良かったよ」
「そうやったん? 作ったかいがあったってもんやんなぁ」
「そうだな……」
雄介が先頭にリビングへ向かい、望はソファに上着を置き、鞄をテーブルへ運ぶ。
雄介は冷めてしまったカレーを温めるためにキッチンへ立つ。
「やっと、裕実と和也が本当のカップルになれるみたいだぜ」
「……へ? どういうことなん?」
「昨日さぁ、俺たち、仕事の帰りに焼肉屋に寄ったんだけど、たまたま新城と本宮君も来ていてさ。俺たちは隣の個室にしたんだけどな。その時、本当に行儀の悪い和也が隣の個室に耳を当てて聞いてたみたいなんだけど、まぁ色んな話をしてたらしいんだよ。でも、急に静かになったんだってさ。駐車場には新城の車があったから、まだいるんじゃないかって思ったけどな。……で、俺たちは食べ終わったし焼肉屋を出たんだけど、それから今日、仕事が終わって和也が俺たちの部屋に入って来てさ、昨日の新城と実琴が焼肉屋でやったって話を和也が聞いたらしいんだよ。そうそう! よく考えてみたら、本宮さんと和也はまだ完全に別れてない訳だろ? で、昨日、新城と本宮さんがヤったって話が正しいなら、本宮さんは浮気したってことになるんじゃねぇか? って話になったんだよな。そしたら、それがきっかけで和也は本宮さんと別れる踏ん切りがついたんじゃねぇかな? って思ってさ……」
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