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ー過去ー134

 望はそう言うと、雄介の方へと体を向け、 「お前はさぁ、和也みたいに人の真似しようとしなくてもいいんだよ。お前はお前のままでいいんだし、そっちの方が俺は好きだしな。だから、無理に誰かのように振る舞わなくても、お前らしくいてくれたらいいんだよ。まぁ……そのままの雄介が俺は好きなんだからさ」  その望の言葉に雄介の顔が再び明るくなると、 「今日の望には『ありがとう』って何回言っても足りひんわぁ。ホンマにありがとうな」  望は少し照れくさそうに笑いながら答える。 「そりゃな……誕生日二日前にお前と喧嘩なんかしたくねぇしな」 「せやな。あと二日やし、喧嘩はもう我慢やな。とりあえず、明日の仕事を頑張ろう! って感じやな」 「そだな。明日が終われば、俺達の時間もあるしな」 「よっしゃ! 今日はもう寝ようや」 「そうだな」  雄介はリモコンで電気を消すと、望を抱き締め、そのまま二人は静かな眠りに落ちていった。  次の日の夕方。望達が仕事を終えると、望と裕実は望の車で望の家に向かっていた。  和也は、昨日約束していた通り、朝から実琴と一緒に出かけているようだ。二人は車に乗り込み、ドライブのような感じで近くを走りながら、会話を始める。 「やっと、二人きりで話せるようになったな。どうなんだ? 今の職場、充実してるのか?」  最初は軽い質問から始める和也。 「和也と二人きりで話せるのは、初日以来だね。そういえば、なんで新城先生と仕事するようになったの? 新城先生も言ってたよ、『あの梅沢さんが、どうして僕と一緒に仕事するなんてあり得ない』って。だって、和也、前に新城先生に告白されて断ったんだろ? それからあんまり近づいてなかったのに。まだ色々質問したいことがあるけど、まずはそのことが気になってさ」  和也にとって、最も痛い部分を突かれたことだろう。どう切り抜けるのか、少し心配な和也。

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