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ー過去ー135

「あ、それはだな。気分転換っていうのもあって……ほら、新城先生が告白してきたって、お前はそれを新城先生に聞いたんだろ? それで、俺は断った。それから俺は新城先生のことを避けてたんだけど、新城先生はある日から俺にちょっかいを出さなくなったんだよな。だから、今は試しに新城先生のところに行ってるって感じなのかな?」 「そうだったんだー!」 「ああ、そういうことだ。まぁ、これからあいつが俺にちょっかいを出すようなことがなければ、普通に俺は望のところに戻るんだけどな」 「じゃあ、あの……」  二つ目の質問を実琴が和也にしようとしているのだが、どうやらなかなか切り出せないようだ。  和也はそんな実琴に気付き、 「あのさ……まさかとは思うんだけど、お前、今は新城といい感じなんじゃねぇのか?」 「……ゴメン。そうなんだよ。まさか僕が和也以外の人を好きになるとは思ってなかったんだけどね」 「そうか……そういうことな……なら、良かったんじゃねぇの? 新城と今は幸せになれたんだろ?」 「か、和也はそれで本当にいいの!?」  実琴は今まで和也に申し訳ない気持ちを抱いていたのだが、その和也の声に顔を上げる。 「別に俺の方は、そのことについては気にしてねぇよ」 「それは、やっぱり本宮裕実さんがいるからだよね?」  今までは和也のペースで話が進んでいたのだが、実琴はいきなり確信を突くような問いを投げかけてきた。そんな実琴の言葉に、一瞬目を丸くした和也だったが、観念したかのようにひと息吐き、 「ああ、悪い……。そうなんだよな。だけど、一つだけ言い訳させてくれねぇか? 確かに俺たちは大学時代付き合ってた。だけど、大学を卒業してからはお互い違う病院で働き始めて、忙しすぎたのと会う時間さえなかったわけだ。だから、俺の方はてっきり自然消滅したかと思ってたんだよな。それにさ、俺だってまだまだ若かったから、そろそろ出会いも欲しいとか、やっぱ、人を抱きたいとか愛したいって気持ちになっちまってたんだよ。だからさ、お前より先に春坂病院で働き始めた本宮裕実の方に告白しちまってたんだよな。ま、その前には望にも告白してたんだけどよ。まぁ、望には断られちまったけどな。ま、俺の方はそういうことだったんだよ。だから、お前がこの前病院に来て、それで俺のことを忘れてなかったって事に本気で焦ったんだからな。それに、お前は未だに俺のことが好きだって言ってたしよ。だからさ、俺の方は実琴に悪いと思って、本当に新城とお前を恋人同士にさせるために、わざわざあの嫌いな新城のところに行ったわけなんだけど、俺が入らなくてもさ、お前は新城とくっついてたってわけだ」

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