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ー過去ー139

 パーティーという重々しい名目ではなく、普通の夕食なのかもしれない。  それから和也達は十一時まで望の家でのんびりとし、 「んじゃあ、俺達の方はそろそろ帰るな……皿の方は洗っておいたし。後、望は雄介の事を待つだけだな」  といつもの調子で望に向かってふざけたような事を言う。その言葉を聞いていた望の方は、あっという間に顔を赤くしたのは言うまでもないだろう。 「あー! まったく、相変わらず和也ってうるせぇんだからよー。もう! 和也がうるさいから早く帰れよなー」 「分かってますよ。俺等はこれから、二人でイチャイチャラブラブな事して来るしー」 「はいはいはいはい!」  望の方はそうめんどくさそうに返事すると、和也の事を玄関まで追い出した。 「んじゃあ、明後日な」 「ああ……」 「和也には言ってねぇよ。俺は裕実に言ってんだ」 「はーい! では、明後日……」  その望の言葉に、裕実は普通に返事をする。 「まーたく、俺は除け者かよっ!」  そうふざけたように大声を上げる和也に対して、裕実と望はクスリと笑い始める。 「二人して、人の不幸を笑いやがって……」 「だけど、ふざけているのは分かってるから、お前だって本気で怒ってる訳じゃねぇんだろ?」 「まぁな……」  みんなの性格を分かっているからこそ、ふざけているのは十分承知のことで、そんな事ではやはり怒るなんて事はしないのだろう。 「んじゃあなぁ、明日は雄介といい一日にするんだぞー」 「ああ、当たり前じゃねぇか!」  その望の言葉に、和也は望が何か成長した事に気付いたのか、軽く微笑むと、裕実と一緒に望の家を出て行った。  それから裕実とドライブがてら、二人は久しぶりにホテルへと向かったようだ。  その間に和也は裕実に、今日、正式に実琴と別れた事を話し始めた。 「和也は僕との約束をちゃんと果たしてくれたんですね。分かりました。今度は僕の方が和也との約束を果たす番です。ちょっと長くなるのでホテルに入ってから話しますよ」  そう真剣な表情で言ってくる裕実。きっと裕実の方もまた和也に話す決心がついたのだろう。  和也もその真剣な裕実の顔付きに、真面目な表情をして答える。 「分かった……俺の方はもう覚悟出来てるし、お前にどんな秘密があったとしても、俺はお前と別れない事を誓うよ」 「ありがとうございます」

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