1405 / 1471
ー過去ー139
パーティーという重々しい名目ではなく、普通の夕食なのかもしれない。
それから和也達は十一時まで望の家でのんびりとし、
「んじゃあ、俺達の方はそろそろ帰るな……皿の方は洗っておいたし。後、望は雄介の事を待つだけだな」
といつもの調子で望に向かってふざけたような事を言う。その言葉を聞いていた望の方は、あっという間に顔を赤くしたのは言うまでもないだろう。
「あー! まったく、相変わらず和也ってうるせぇんだからよー。もう! 和也がうるさいから早く帰れよなー」
「分かってますよ。俺等はこれから、二人でイチャイチャラブラブな事して来るしー」
「はいはいはいはい!」
望の方はそうめんどくさそうに返事すると、和也の事を玄関まで追い出した。
「んじゃあ、明後日な」
「ああ……」
「和也には言ってねぇよ。俺は裕実に言ってんだ」
「はーい! では、明後日……」
その望の言葉に、裕実は普通に返事をする。
「まーたく、俺は除け者かよっ!」
そうふざけたように大声を上げる和也に対して、裕実と望はクスリと笑い始める。
「二人して、人の不幸を笑いやがって……」
「だけど、ふざけているのは分かってるから、お前だって本気で怒ってる訳じゃねぇんだろ?」
「まぁな……」
みんなの性格を分かっているからこそ、ふざけているのは十分承知のことで、そんな事ではやはり怒るなんて事はしないのだろう。
「んじゃあなぁ、明日は雄介といい一日にするんだぞー」
「ああ、当たり前じゃねぇか!」
その望の言葉に、和也は望が何か成長した事に気付いたのか、軽く微笑むと、裕実と一緒に望の家を出て行った。
それから裕実とドライブがてら、二人は久しぶりにホテルへと向かったようだ。
その間に和也は裕実に、今日、正式に実琴と別れた事を話し始めた。
「和也は僕との約束をちゃんと果たしてくれたんですね。分かりました。今度は僕の方が和也との約束を果たす番です。ちょっと長くなるのでホテルに入ってから話しますよ」
そう真剣な表情で言ってくる裕実。きっと裕実の方もまた和也に話す決心がついたのだろう。
和也もその真剣な裕実の顔付きに、真面目な表情をして答える。
「分かった……俺の方はもう覚悟出来てるし、お前にどんな秘密があったとしても、俺はお前と別れない事を誓うよ」
「ありがとうございます」
ともだちにシェアしよう!