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ー過去ー142
と、その時、望の携帯が再び机の上で震え出す。メールの差出人はまた和也だった。そこには、望が驚くような内容が書かれていた。
『な、ニュース見ただろ? 多分だけど、雄介、この現場に行ってるんじゃねぇのかな? ってか、望……大丈夫か?』
望はそのメールを何度も読み返すが、文面が変わるわけではない。
『はぁ!? 雄介がその現場にいるって、どういうことだよ!? 今まで俺、このニュース見てたけど、そんなこと、一言も言ってなかったぜ。ニュースじゃあ、消防車が数十台現場に駆け付けてるってことしかな』
望は和也にそう返信を送るが、和也の方はすぐにメールを送り返してくる。
『ゴメン、ゴメン……。望が見ているニュースではそれしか伝えてないんだろうけど。俺がさっき見てたニュースでは、春坂レスキュー隊も出動してるみたいなんだよな。だから、もしかしたら雄介の部隊も出動してるのかなぁ? って思ったんだけどよ。だって、まだ雄介帰宅して来てないんだろ?』
『ん、まぁ……確かに帰って来てねぇけどよ。そういや、まだ雄介から何も連絡来てねぇんだよな』
望がそう返信を送った直後、今度はメールではなく電話の着信音が鳴り響く。その電話の相手が誰なのか、望はある程度予想していたらしい。確認せずに電話に出ると、案の定、予想通りの人物だった。
「何だよ……和也……」
『そんなめんどくさそうな声しなくてもいいだろうが……。こっちは心配して電話してるんだからさ』
「……で、用事は?」
『そりゃあねぇだろー。ま、とりあえずさ……今、俺は望の家に向かってるからな』
「別に平気だよ……俺は……」
『いやさ……だけど、一応な……』
と、その時、ニュース番組で新しい動きがあったようだ。アナウンサーに新しい原稿が届き、読み上げ始める。
『今、入ってきた情報によりますと、先程、死亡者のリストにレスキュー隊員の方が一名含まれていたようです。繰り返しお伝えします……』
そのアナウンサーの言葉に、さすがの望も体を固まらせてしまう。ニュースで「レスキュー隊員が一人死亡」という情報が流れたのだから。
冷静を保っていた望だったが、その一報を耳にして違う意味で鼓動が高鳴り、目を見開いてしまった。
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