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ー過去ー147
雄介は自分で買って来た洋服を隠すように隣の部屋へと持って行くと、望が着替えた頃に襖が開き、
「こんなんやけど、どうや?」
その雄介の言葉に、望は雄介の姿を下から上へと見上げて行く。
そう自慢げに言って来た雄介が分かったような気がする。いつもの雄介の格好というのは革ジャン系が多かったのだが、今回はいつもとは違い、爽やか系に統一したらしい。紺のスラックスにカジュアルな白色のTシャツ、そこに紺のベストを合わせることで、カジュアルながらもオシャレな雰囲気を醸し出している。
その雄介の格好に、望は一瞬だけ時が止まったかのように雄介を見つめてしまっていた。
雄介は身長も高く、モデル系ではないものの、それなりにイケメンで爽やかな顔立ちをしているため、どんな服でも似合うのかもしれない。
「あ、悪い……俺だけいつもの格好でさぁ」
「気にすんなや……。それやったら、俺が休みの時に望の分も買うてくれば良かったな」
「ま、いいや……お前の誕生日には俺の方もお出掛け用の服買っておくしさ」
「せやな。ほな、行こうか?」
「ああ、今日は雄介が車の運転してくれるんだろ?」
「それは別にかまへんけどな……ん、まぁ……久しぶりの運転になんねんけど、それでもええねんやったら」
「別にそこは俺的には構わないんだけどな」
「下手になってるかもしれへんで」
「全然構わないって……」
「ほんなら、久しぶりに車の運転するかなぁ?」
雄介は体を伸ばし、気合いを入れるようにして言う。
「な、雄介……休まなくても大丈夫なのか?」
「ん……まぁ、平気やって……。昨日は確かに夜中に出動したけど、大した事はなかったからな」
そう言いながら、雄介は乾いた笑いを浮かべる。しかし、流石の望もそんな雄介の状態に気付かない訳がない。
「やっぱ、いいよ……俺が運転するしさ。今のお前に運転させたら危なくて仕方ねぇからな。だから、お前は俺が運転している間っていうのは寝てろよな! 嫌とは言わせねぇぜ」
雄介に向かって、望は一喝すると階段を降りて行く。
「今の望に何を言っても怒られるだけやし、運転の方は望に任せるしかないみたいやな」
雄介は一人残された部屋で独り言を漏らすと、望の後を追って階段を降りて行く。
「よし! 車と家の鍵は持った!」
そう自分自身に確認する望は、雄介の方へと顔を向ける。
「今日は何処に連れて行ってくれるんだ?」
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