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ー過去ー149
久しぶりに雄介に抱かれるという緊張感からか、望は顔を真っ赤にしながら地下室へと連れて行かれる。
確かに雄介に抱かれるのは嫌ではないのだが、あらかじめ分かっていると、変に緊張してしまうのだろう。
雄介は望の前を歩き、望はその雄介の背中を見ながら地下室へと向かう。
階段を降りると、雄介はもう一つのドアを開け、手探りでスイッチを押して電気を点けた。
地下室は外の明かりが一切入らない場所だ。電気が点いても、一階の部屋ほど明るくは感じられない。
雄介はさらに望の腕を引き、ベッドの端に座らせると、その横に寄り添うように横になった。
「ホンマ、こうして望とゆっくり出来るのは久しぶりやんな」
「まぁな……俺達は忙しい仕事してんだから仕方ねぇだろ?」
「まぁ、そこはもう分かっておんねんけどな。せやけど、俺の方は望と一緒に居られるだけでもホンマ幸せや。流石にあん時、望と離れる事になってもうた時には、俺やって、ショックやったんやで……」
「俺はあん時、黙って大阪に行かれた方がショックだったけどな」
その望の言葉に、雄介は焦ったような表情を浮かべる。
「ちょ、ちょー、望、その話は引っ張り出さんといてなぁ」
「……ってか、お前が出して来たんだろうが……」
「ま、まぁ……そうなんやけどな。しっかし、誰なんやろうな? 俺の事、東京に戻してくれた人って……」
「あれ? 雄介は知らなかったんだっけ? 雄介の事、東京に戻してくれたのは俺の親父なんだけど……。親父が言ってたんだけどさぁ、消防庁に知り合いがいるだとかで、その人と話をして雄介を東京に戻してくれたんだってさ」
「そうやったんか!? それって、まさか、ウチの親父やないやろな?」
「流石に俺もそこまでは聞いてねぇよ。もし、そうだったらある意味怖いけどな」
「せやな……親父が知り合いで俺達が恋人同士ってな」
「でも、ちょっと待てよ。流石に小さい頃で記憶なんかねぇけど、アルバムにさ、消防署に見学に行った写真があって、俺があんま知らない子と写ってる写真があったんだよな?」
「……それって、ホンマか!?」
「ああ、ちょっと待っててくれ……今、持って来るからさ」
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