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ー過去ー171

 そんな雄介の行動だけでも今の望は甘い声を吐き出すのだ。 「気持ちええのか?」  雄介はそう切なそうな顔をしながら、何度も何度も望の頭を撫でてはキスを繰り返す。 「ゆ、雄介……も、いいから……。 この後、どうしたらいいんだ?」 「んー……やっぱり、アカン……望に動いてもらうのは、どうも()かんなぁ」  雄介はそう言いながら半身を起こそうとしたのだが、望は雄介の両肩に手を置き、雄介の体をベッドへと沈ませる。 「確か……俺が腰動かしたら良かったんだったよな?」  望は腕を組むと雄介の方へと視線を向け、 「やっと、お前の性格が分かって来たような気がするぜ……。 確かにお前は優し過ぎっていうのもあるけど、体に似合わずヘタレって事なんだよな」  その望の言葉に流石の雄介も耳をピクリと動かし、 「違うんやって……」 「いいや……違う訳がねぇ! 現に俺の事動かす事が出来てねぇじゃねぇか……それに、この前、裕実に聞いたらさ、俺や裕実側の人間っていうのもモノを舐めるって事聞いたんだぜ。 なのに、お前は俺に一回もやらせた事もなかったしな」  雄介は心配そうな顔で望の事を見上げると、 「望はそんな俺でも大丈夫なん? 意地悪な俺でも大丈夫なんか?」 「だ、大丈夫だから言ってんだろうが……」  そう改めて聞かれると急に望は恥ずかしさが増して来たのか、望は真っ赤な顔をしながら雄介から視線を逸らしてしまうのだ。 「ホンマにか?」 「……だ、大丈夫だって」 「何で、そんなに自信なさげなん?」 「そりゃ……」  何かこう言いにくそうにしている望。 「分からねぇからだよ……だから、少し不安っていうのはあるんだしな」 「意地悪な俺がか? ほんなら、ええわぁ。 やっぱり、いつもの俺で行くし」  再び雄介は半身を起こすのだが、望はまた雄介の事をベッドへと沈める。 「ちょ! なんやねんって! ホンマ、今日の望は分からんわぁ!」 「やるって言ってるんだから、やらせろよ」 「せやけど、自信ないねんやろ?」  条件反射だったのか無意識だったのか、そこは分からないのだが、望はその言葉に頭を頷かせる。 「ほんならええって……望には無理な事させちうないし」  望は首をに振ると意を決したかのように、雄介の首の辺りや胸の辺りをこう辿々しく舐め始める。 「ん……ちょ、望……いきなり、なんやねんって!」

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