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ー天使ー91
「ほんなら、琉斗のお母さんとこに行って来てもええか? せっかく、春坂病院に来たことやしな」
「そうだな、後で望にメール入れておくよ」
「せやな」
三人は琉斗のお母さんのもとに行くことにし、美里の病室へと向かう。
その間に和也は望にメールを送った。
「えーと、美里さんの病室は?」
和也は仕事をしている時、毎日のように美里の病室に足を運んでいる。そのため、和也を先頭に一行は病室へ向かった。
病室の前に着くと、和也はノックをしてから部屋の中に入っていく。
美里は最初、和也の私服姿に不思議そうな顔をしていたが、和也の後ろにいる雄介の姿を見つけると笑顔を浮かべた。
「久しぶりやな……姉貴」
「ホンマ、久しぶりやな……雄ちゃん」
普段は標準語を使う美里だが、家族の前では関西弁が出てしまうようだ。そして、美里は雄介のことを『雄ちゃん』と呼ぶ。それだけ仲がいいのだろう。
「姉貴、琉斗も連れて来たで……」
「ホンマ!?」
雄介はそう言うと、琉斗を軽々と持ち上げて肩に乗せた。
「琉斗……雄介おじちゃんに迷惑とか掛けてない?」
「掛けてないよ!」
「せやなぁ。琉斗の奴……めっちゃええ子やで。せやから今日は遊園地に行って来たんや。琉斗がずっとええ子にしていたご褒美になぁ」
雄介が琉斗に視線を向けると、琉斗は大きく頷いた。
「だけど、観覧車しか乗れなくて、望兄ちゃんが怪我しちゃったみたいで救急車でココまで来たんだよ」
琉斗の話に、美里は首を傾げる。
「望さんって? 吉良先生でしたっけ?」
「そうや。姉貴に言うとってなかったんやっけ? 今、俺はその吉良先生と一緒に住んでおるってこと」
「それは聞いていたけど……。吉良先生は大丈夫なの?」
「多分な。ここに救急車が着いてからは、一人で歩いて院長室に向かっとったし」
「それなら、良かったけど」
ふと美里が気付くと、雄介と和也以外にももう一人いることに気付いた。
「雄ちゃん……私の部屋にみんなで来るのはいいけど、最初に紹介していただかないと分からないわよ」
「あ! せやったな」
「ホント、貴方は前っからどこか抜けてるとこあるわよねぇ」
分かり切ったことを指摘され、言い返せないでいる雄介。
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