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ー天使ー98
望たちが再び遊園地の駐車場に着いた頃、太陽は一日の仕事を終え、沈みかけていた。
望は一息つくと、
「やっと、着いたな」
そうつぶやいた。その直後、和也が駐車場内を見渡して、
「良かったー! 俺の愛車、あってー!」
まるで語尾にハートマークが付きそうな勢いで叫ぶと、自分の車が置いてある場所まで急いで駆けていく。
「……って、なくなるわけねぇだろー」
望が突っ込む間もなく、和也の姿はすでに消えていた。
「まったくー、和也はさぁ。望さんに何も言わないで行ってしまいましたよー」
裕実はため息交じりに独り言を漏らすと、望のほうへ向き直り、
「望さん……ここまで僕たちを車で送ってくださって、本当にありがとうございます」
「気にすんな! 困った時はお互い様だろ?」
「はい! そうですね」
裕実は望の言葉に笑顔で答えると、
「では、明日……」
「ああ」
望が短く返したが、ふと気になったようで、
「なあ、裕実……何で和也は自分の車にあんなに愛着があるのか知ってるか?」
「知ってますよ。小さい頃から今乗っている車が欲しかったらしく、小学生の頃からお小遣いやお年玉を貯めていて、大人になってもその金額に達していなくて……それで一生懸命働いて、やっとキャッシュで買ったらしいですよ」
「それって、ホンマかぁ!?」
望が質問したのに、その話に食いついたのは雄介だった。
「確かに、それやったら愛着わくわなぁ」
「まあな……欲しくて自分で買った車だもんな。俺は親に与えられた車だから愛着がないんだろうなぁ。あればいいやって感じだし」
「俺も和也ほどではないけど、自分で選んで買った車やからなぁ。もちろん、むっちゃ安い車やけど……」
「え? そうなのか? 安いって……お前の車、確か四駆だよな?」
「まあ、そうなんやけど……ジープみたいにかっこええのとは違ゃうからなぁ」
「車の相場はよくわからんけど……まあ、いいか」
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