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ー天使ー131
「そんなことはありませんよ。私は望と付き合って、どれだけ望のことを悲しませてきたか分かりません。それに、男である望を好きになってしまい、本当に申し訳ございません」
雄介は裕二に向かい、再び頭を下げる。
「そのことはさっき言ったはずだよ。だから、申し訳ないと思うことはないのだから。それに今……君が考えるべきことは望のことではないんじゃないのかなぁ?今は君のお姉さんのことを考える方が先決だと思うよ」
「そうでしたね。でも、姉貴なら大丈夫だと思いますし、それに、その姉貴を手術してくれてるのが望ですから、私はあまり心配してませんよ」
雄介は顔を上げると、裕二に向かい笑顔を見せる。
「確かに、そうかもしれないね」
「だから、大丈夫ですよ」
「ああ」
そう話が切れたタイミングで、ちょうど美里の手術が終わったのか、手術室のランプが消え、中からストレッチャーで美里が運ばれてきた。後に望も姿を見せる。
「雄介、お前のお姉さんは大丈夫だからな。手術は成功したからさ」
「ああ、ありがとうな。望なら絶対に大丈夫やって分かっておったし。ホンマ、望には頭が上がらんくらいやわぁ」
雄介が笑顔でそう言った隣で、和也が望の後ろから顔を出す。
「……のわりには頭上がったままじゃねぇのか?」
和也は笑いながら言う。その様子はふざけているようだった。
「うるさいわぁ!」
「へいへい……」
和也はふてくされたように頬を膨らませる。
「とりあえず、しばらく様子を見て、大丈夫そうなら琉斗の運動会の日に外泊許可を出すからな。ただ、何かあった時は外泊許可は出せねぇから、そこだけは了承しといてくれ」
「分かっとる。せやけど、姉貴なら大丈夫や。よう分からんけど、姉貴は必ず大丈夫やって思うねん。ほら、子供残して……とかいうのもできないやろうしな」
「そっか……お前が大丈夫だって言うくらいだから、美里さんは大丈夫なんだろうな」
一旦、望は間を置いてから言う。
「とりあえず、俺は着替えて来るからよ。それと、今日は美里さんの様子を見たいから、俺は病院に残るが、雄介は琉斗を連れて家に帰ってくれな」
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