1597 / 2073

ー天使ー146

 琉斗たちのお遊戯が終わると、昼食の時間になり、琉斗は美里たちがいる席にやって来た。  琉斗は席に来ると美里の姿を見つけ、 「お母さん!」  そう言って、美里の体にしがみつく。 「お母さん、来てくれたんだね!」 「元気になってきたから、琉斗の運動会を見に来られたのよ」 「良かった!」  琉斗の笑顔に、美里も微笑んだ。 「ほなら、飯食おうか?」  雄介は朝早く起きてお弁当を作っていた。それをシートの上に並べると、 「ホント、雄介ってすげぇなぁ」 「朝早くに起きて、一生懸命作ってたぜ」  その中には、琉斗のためなのだろうか、キャラクターの顔を模したお弁当があった。 「これ、琉斗のなぁ」  琉斗はそのお弁当を見ると声を上げ、はしゃいだ。 「雄介おじちゃん! 凄い!!」 「本当にすごいわねぇ。雄ちゃん、どこでこんなこと覚えたの?」 「一人暮らししてからやな。まぁ、家におる頃から腹が減ると一人で飯作っておったけど……東京に来てからは飯は作らなあかんかったし、それに消防署でもみんなの分作らなきゃならんかったしな。せやから、飯に関しては作れるようになったんや」 「雄ちゃん、今度私にも作り方を教えてねぇ。あ、でも休みの日に雄ちゃんを借りるのは吉良先生に悪いわねぇ」 「大丈夫ですよ。俺と雄介の休みが重なる日なんて少ないですし、特に平日の昼間なら大丈夫です」 「そうだったのねぇ。吉良先生と雄ちゃんって、そんなに会える機会が少ないのかしら?」 「でも、今は一緒に住んでるからええんや。ホンマにそれで十分なんやからなぁ」 「そうなのねぇ。雄ちゃんとこういう話をしたことがなかったから、初めて知ったわ。吉良先生は雄ちゃんでいいの?」 「え? あ……」  突然そんな話題を振られ、望は動揺してしまった。危うく食べていたものを吹き出しそうになるほどだった。 「あ、はい……。大丈夫ですよ。今まで雄介とはいろいろありましたが、俺にとって雄介といることが幸せだって思っていますから」 「そう。それなら良かったわぁ。こんな弟だけど、これからもよろしくお願いしますね」

ともだちにシェアしよう!