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ー天使ー147
「はい!」
そんな話をしていると、琉斗はお弁当箱を上に掲げ、
「食べたー! すごいおいしかった!」
「ほな、良かったわぁ。後は午後からやなぁ」
「何言ってんのー、僕たちのは午前中だけだよー。午後からはお父さんとかお母さんたちが出るんだからねぇ」
そう言う琉斗の言葉に、和也はプログラムを慌てて見直した。琉斗の言う通り、園児たちの競技は午前中だけで、午後からは父母がメインの競技だった。
「小学生とは違うのかぁ?」
「まあ、幼稚園は基本、午前中だけやからなぁ。午後からは親になるんかぁ。それに、運動会に親が参加できるのは幼稚園のときぐらいやし」
「そうだったんだっけ? もう幼稚園のときのことなんか忘れちまってるからなぁ」
「ま、そういうことや。とりあえず、親たちが参加する競技って何があるんや?」
「綱引きに借り物競争だなぁ」
「綱引きと借り物競争か……」
「雄介おじちゃんは借り物競争に出て! 出て!」
「はい?」
琉斗はどうして借り物競争に雄介が出るべきだと思ったのだろうか。
「何で俺が借り物競争なん?」
「綱引きは望兄ちゃんも和也兄ちゃんも裕実兄ちゃんもみんな出られるでしょう? だから、雄介おじちゃんには借り物競争にも出てほしいの!」
きっと、まだ琉斗には借り物競争の意味が分かっていないのかもしれない。だから、それだけを雄介に出てほしいと言っているようだ。
「琉斗は雄介おじちゃんに活躍してほしいのよねぇ」
「うん! そう! 雄介おじちゃん頑張ってね!」
「そういうことかいな。ほんなら、俺が借り物競争に出るな」
「あと、綱引きも忘れないでね!」
「分かっとる」
「まあ、雄介がいたら綱引きは勝ったも同然だな」
「そうですよねぇ。雄介さんは現役のレスキュー隊の人ですから、力はありますしね」
「……って、裕実ー、俺にプレッシャーかけるなやぁ。綱引きは団体競技なんやで。流石に俺一人だけ頑張ったって勝てるわけないやろー」
「まあ、そうだけどな」
「何言ってんのよー。琉斗は雄ちゃんに期待してんのよ。弱気な雄ちゃんじゃ勝てないわよ」
「分かっとるって……」
雄介が溜め息を吐くと、放送が流れ、午後の競技が始まるようだった。
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