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ー決心ー3
「おいおい……俺たちの夢、潰す気かよー」
そう軽く雄介に向かって突っ込みを入れる和也。
「夢ってなんやねん」
「あれに決まってんだろー、仲間同士だけで病院をやるってことー」
「あ、それな……」
「他に何があるっていうんだよー」
「ま、確かにな……」
「……って、なんだよー。今日の雄介、お前らしくねぇじゃん!」
「別に普通やと思うんやけどなぁ?」
雄介がそう返す中、和也と雄介の会話に美里が割り込んできた。
「確かに、梅沢さんの言う通りだわぁ。本当に今日の雄ちゃんって変なんだけど?」
「お前、まさか熱とかあるんじゃねぇか!?」
和也はふざけたように言った後、望の方を振り向いて話しかける。
「望ー、雄介の恋人だろ? なら、熱があるかどうか雄介のおでこ触ってみてくれよなぁ」
「そんなことしなくても大丈夫だ。雄介は熱も出てねぇし、いつもの雄介と変わりねぇと思うんだけどなぁ?」
「ま、恋人の望が言うくらいだから大丈夫だな。ま、とりあえず早く手続き済ませて行こうぜー」
「せやなぁ」
雄介は一旦手続きを済ませに、一人キャンパス内へと向かう。望たちは雄介の手続きに時間がかかることを見越し、車の中で待つことにした。
そんな出来事があり、今、雄介は大学のキャンパス前にいる。
学校を終え、門を出ようとした時、思ってもみない人物から声を掛けられた。
「雄兄さん……久しぶりだねぇ」
その声に、雄介は一瞬、体を強ばらせた。
「ちょ、なんやねんお前! 何しに来たん?」
一応話はするものの、雄介は家路を急ぐため、足早に歩き出す。しかし、その人物は雄介を追いかけるように、後をついてくる。
「まだ、僕は雄兄さんのこと諦めちゃいないんだからね!」
その言葉に、溜め息を漏らす雄介。
「あのなぁ、歩夢……これから俺はお前と遊んでいるほど暇は無いんやで……」
「望兄さんと遊ぶ暇はあるのに?」
「望は一緒に住んでおるし、恋人やし、そこは普通やろ? それに前に言わへんかったか? 「『俺のことを振り向かすことが出来たら、付き合ってもええ』って……」
「だから、今、それを実行してるじゃない?」
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