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ー決心ー87

しかも相変わらず歩夢も一緒にだ。  事故が起きたのは今から数時間前。事故が発生した当初、太陽は一日の仕事を終えて暮れ、闇の世界へ向かい始めていた頃だった。  突然、大きな音と共に電車が歪み、立っていた二人はその衝撃でバランスを崩し倒れてしまった。どこかを打ったのか、意識を失ってしまったようだ。  それから数十分後だっただろうか。雄介が瞳を開けると、目の前には悲惨な光景が広がっていた。  確かに雄介はレスキューの仕事で悲惨な状況に遭遇したことがあった。しかし、今までこんなに酷い状態は見たことがない。  確かに、あの東京での大地震の時もかなり悲惨な状況ではあった。だが、あれは天災だった。一方、この事故は人災であり、それ以上の惨状なのではないかと思えるほどだ。  夕方のあの時間といえば帰宅ラッシュが始まり、電車の中はすし詰め状態で足の踏み場もないほど混雑している。  現代の不景気の影響もあってか、仕事が終わると真っ直ぐ家路に向かう人が多いと言われている。そのため、午後五時から六時の時間帯は電車内が特に混雑する。  雄介は今日も学校の前で歩夢に待ち伏せされ、同じ駅で降りる二人は仕方なく一緒に電車に乗り込んだ。たった二駅で、まさかこんな事故が起きるとは思ってもいなかっただろう。  帰宅ラッシュ時のいつも通りの電車。しかし、それが一瞬にして人々の命を奪う事故に変わったのだ。  雄介が目を開けると、電車は横向きに倒れ、大勢の人々が倒れている姿が目に入る。歩夢も例外ではなかったようだ。  雄介はとりあえず歩夢の生死を確認すると、彼もただ意識を失っているだけだと分かり、少し安堵する。そして、携帯を取り出そうとした。だが、携帯はこの事故で壊れてしまったらしく、いくら押しても起動する気配がない。  昨日、望と一緒に携帯を新しくしたばかりだった。それがまさか、翌日に壊れてしまうとは思いもしなかっただろう。  通信手段が途絶えている今、外部との連絡は取れない。せめて恋人である望に無事であることを知らせたいところだが、それも叶わない。  雄介は壊れてしまった携帯をポケットにしまう。そして、横倒しになった電車の中で、普段なら横にある窓が上にある状態となったため、その窓の外を見上げた。

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