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ー平和ー40

 和也は顔を上げると、 「なぁ、朔望を呼んで、もう話つけちまおうか? その方が手っ取り早くないか?」 「それでもええねんけどな。短時間で話つくんかなぁ? って思うたんやけど?」 「それは分からねぇけどさ。雄介も、一度朔望に会っておいた方がいいんじゃねぇかな、って思ったんだよ」 「確かに……そうやな。ほなら、会っておくかな? ほんで、連絡はどないするん?」 「雄介か望か……歩夢のメルアドとか知らねぇの?」 「あ、それなら俺が知ってんで……って、前に無理矢理、歩夢に教えてもらったような気がすんねんけどな。あ、でもな、歩夢が半分無理矢理、俺にメールしてきたことがあっただけで、俺の方からはメールしてへんから」 「そうだったのか。なら、雄介の携帯から歩夢にメールしてみてくれねぇ? 焼き肉屋の名前を言えば分かると思うんだけど、望の実家からもそんなに遠くねぇし、病院からの通り道だから。最近日本に帰って来たらしいが、毎日通ってれば場所くらい分かるだろ?」 「ほなら、とりあえず歩夢にメールしとくな。そんで、歩夢が望の双子の弟の方に連絡してもらったらええねんな?」 「そういうこと……」  雄介はとりあえず歩夢にメールを送った。すると朔望から承諾を得たのは良かったが、どうやら歩夢も一緒に来るとメールには書いてあった。  雄介は一つため息を吐き、 「何でか歩夢も来るとか言ってんで……」 「まぁ、歩夢は別にいいんじゃね? アイツは望も雄介も諦めたんだろ? ……って、まさか? 歩夢が望を諦めたもう一つの理由って、朔望が帰って来たからなんじゃねぇの? もし、歩夢と朔望が仲が良かったとしたら、タッグを組んでくるんじゃねぇかなって思うんだけどよ」 「そうか? よう分からんけど。それで、歩夢は俺にしたとか?」 「まぁ、あくまで予想だから分からねぇけどな」 「せやな……」  そんな話をしていると、十分もしないうちに歩夢達が来たらしく、個室のドアが開いた。  先に入って来たのは歩夢で、その後ろから朔望が顔を見せる。  その顔を見た裕実と雄介は、望と朔望を交互に見比べていた。  そんな二人に気付いた和也は笑って、 「な、望と朔望……そっくりだろ?」 「ですね。確かに、和也がドッペルゲンガーって言った意味が分かります」 「って、お前も双子だろうが!」 「あ、忘れてました」 「ま、俺は裕実と実琴の見分けはちゃんと出来るけどな」

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