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ー平和ー42

「ま、正確には僕達兄弟の時間を埋めたいんだよね」 「それならええやんかぁ。別に望のことを好きだとか、抱くとか考えなくても……」 「普通はそうなんだろうけど、僕の場合にはそうはいかないんだよね。僕は毎日のように寝る前に兄さんのことを思いながら、兄さんのことを襲ってるよ。それくらいに兄さんのことが好きなんだよ」 「せやけど、兄弟やろ?」 「桜井さんだって、それは言えなくない? 桜井さんと兄さんは男同士っていう関係なんだから……世間では認められてはいない関係なわけだし。それに、男女同士なら、浮気とかしたら関係が壊れてしまうかもしれないけど、男同士なら、周りに認められていないわけだし、何人恋人が居ようと関係なくない?」 「違ゃう! 違ゃう! 違ゃう! 絶対にそれは違ゃう! 例え男同士で付き合っていても、恋人がおって、もう一人相手がおったら、それは立派な浮気や! 浮気! 逆に言うけどなぁ、抱くっていうだけが恋人っていうわけやないで! 男女同士の恋人のように、お互いに支えあって、お互いの幸せを祈ったりして、寧ろ男女のカップルより絆とか強いもんやと思うしな。抱くなんてことは二の次やからな!」  そんな雄介の言葉の後、望も真剣な瞳で朔望の方に顔を向け、 「雄介の言う通りだよ。俺は大学の時に女性と付き合ってみた時があったけど、その女性は雄介とは違うんだよ。相手のことを支えるとか幸せを祈るとかってのはなかったからな。俺は雄介から恋人同士って、お互いのことを知って、お互いのことを想うってのを教わったしな。じゃあ、お前にはそんなことを俺にできるか? ただ抱きたいだけなら本当、俺に近づくのはやめてくれ! そんなことはもううんざりなんだからよ!」 「そこまで言うんだったら、僕が兄さんのことを幸せにしてあげるよ。それなら桜井さんは文句ないんでしょ? なら、兄さんと付き合わせてよ」  せっかく雄介と望がそこまで言ったのに、朔望は本当に望達が言いたいことを理解しているのかどうか、そこのところはまだ分からない。ただ、朔望は望と付き合うという意思を強調していた。  雄介と望は目を丸くしながら視線を合わせ、揃って深い溜め息を吐いた。

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